アメリカの選挙活動の末端を取材すると、選挙対策本部の戦略次第で得票にある程度の差が出ることがわかる。その基礎になるものが選挙資金だった。その半分以上がテレビ・ラジオで流すスポット広告費に消える。いくらインターネットが興隆して「ユーチューブ(YouTube)」の視聴者が増えても、TVから流れる30秒広告の影響力はTVが家庭で視聴される限り、過去も現在も未来も最強のメディアであり続けるだろう。それほど影響力は大きい。

(中略)日本の国会議員が民放のゴールデンタイムのスポット広告に登場することはないが、アメリカでは選挙が終盤戦になればなるほど、激戦州での広告の打ち合いが激しさを増す。オバマ氏は大統領選挙投票日の5日前、08年10月29日にNBCやCBSをはじめとする7局で、30分の選挙用広告を放映した。一般的にTV広告は30秒だが、その日は約4億円の予算をかけて30分の枠を買った。資金面で優位にたつオバマ氏だからこそできた戦術だった。

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近い将来、公職選挙法が改正されればインターネットが多用され、情報も資金もネット中心になる姿は想像できる。テレビ広告を解禁しても構わない。候補者に流れる資金の出所と支出さえ選挙管理委員会に厳密に報告されれば、この流れは歓迎すべきだ。

マイナス要因よりもプラス要因の方が多い以上、流れを止めるべきではない。