体系的に理解するための布石

散発的に覚えた知識の1つひとつはただの水滴にすぎません。でも、そこで終わらせずに周辺知識も押さえていけば、小さな水滴もまとまった水の塊になります。

それらがだんだんと集まっていって、やがて大きな川の流れとなったとき、頭の中にモヤモヤと詰まっていた疑問がダーッと一気にクリアになります。そんな瞬間を味わえるようになると、だんだん知識を身につけるのが楽しくなっていくはずです。

そうした楽しさを得るための布石として、普段から広く浅い知識をつけておくといいでしょう。

新たに興味をもてそうな分野を見つけたときに、入門書を一通り読んだり、概要をまとめているサイトを見たりして、その分野における全体像をつかんでおくのです。

僕たちは日頃から、いろいろな「わからないこと」に出会います。そのときに、「何がわからないのかも、まったくわからない」という状態と、「このあたりがよくわからない」という状態では、その後の知識の深まりは全然違ってきます。

広く浅くでいい

事前に広く知識を入れておき、「どこがわからないのか」をつかんでいれば、そこを重点的に調べることができます。

すると、「AとBはこんなところで関係していたのか」「Cは独立した問題ではなくて、DとEによって引き起こされているのか」ということがわかります。

しかも、こうしてつながりをもった知識というのは簡単には忘れません。

1つひとつ独立していた知識が、「実はこんなところでつながっていたんだ」という発見をすると、何かひとつ忘れても、ほかの関連した知識から芋づる式に思い出すことができます。

一方で、「何がわからないのかも、まったくわからない」状態で、無理して覚えようとしても、「A」「B」「C」「D」「E」という単発の知識を得るのがやっとで、そのつながりまでは見えてきません。

普段から広く浅い知識をつけておかないと、新しい情報を得たときに、そこからつながりを見つけ出していくことが難しいのです。