子どもには「ぼーっとする時間」が必要

近年の教育では、知識を中心とした学力だけでなく、考える力や表現する力も求められ、子どもが小さいうちから「いろいろな体験をさせることがいい」という流れになっています。すると、幼少期にたくさんの習い事を詰め込んでしまいがちです。

習い事をさせること自体はいいのですが、やらせすぎは注意が必要です。というのは、子どもには何もしない「ぼーっとする時間」が必要だからです。

子どもは何かを学んだ後に、今やったことを振り返る時間が必要です。大人から見ると、ただぼーっとしているように映るその時間に、「今日、習ったクロールの泳ぎ方、先生は指先をこうやるように言っていたなぁ~」「今日教わった英語の歌。お父さんとお母さんにも教えてあげよう。えーっと、はじめは何だっけ?」といった感じで、学んだことを振り返り、反復してイメージトレーニングをします。そうすることで、学んだことを消化し、吸収していくのです。

ところが1週間のスケジュールが習い事でいっぱいだと、詰め込むばかりで振り返る時間がありません。すると、せっかく学んだことが自分のものとして十分身に付かないのです。いろいろ学んでいるはずなのに、ただこなしているだけの毎日で、忙しさからくる疲労感だけが募っていきます。

特別なことをしなくても「起きている時間」は学びの時間

中学受験の勉強でも同じことが言えます。たくさん勉強をすれば、成績は伸びていくはずと、あれもこれもとやらせてしまう親御さんがいますが、やらせすぎは要注意。子どもには学んだことを振り返る時間が必要なのです。

中学受験をムリなく成功させる秘訣は、親が何でも引っ張っていくのではなく、子ども自らが自然に学ぶ姿勢になっていること。どんなことでも学べる意識と環境をどう整えてあげられるか、親御さんの関わりがポイントになります。

とっかかりになるのは、幼少期の頃からのいろいろな体験です。でも、今お伝えしたように、1週間のスケジュールを習い事でいっぱいにしてしまうと、子どもは忙しいばかりで、自ら学ぶ姿勢を育むことができません。「体験をさせる」というと、何か習い事をさせたり、どこかへ連れていってあげたりしなければと思ってしまう親御さんは少なくありませんが、特別な機会を用意しなくても、子どもにとっては「起きている時間はすべて学びの時間」です。