受験では無駄を排除して効率的に勉強した

そこで僕は、「受験=情報処理ゲーム」と捉えることにした。何が必要で何が無駄かを見極めて、勉強するのだ。この観点に立つと、早稲田と慶應はまったく問題の傾向が違う。同時に受けるなんて、弁護士と会計士を同時に目指すようなものだ。

また、当時の慶應の経済は受験科目に国語がなく、数学で受けられる唯一の文系だった。そもそも私立文系は数学が苦手な人が多いので、勇気を持って慶應経済に絞る、つまり国語を勉強せずに数学を勉強すればそれだけで大きなアドバンテージだ。また、数学というのは経済を学ぶうえでマストだから将来的にも合理的だ。

ついでにいえば、慶應の歴史の試験は近代以降からしか出題されなかった。経済学に関係するのは産業革命以降の出来事だから、これも無駄がなくていいし、範囲を絞れるからこれも他大学を併願する人に対するアドバンテージになる。

「逆算思考」は長期スパンでやると無理がある

この逆算思考は、形式が決まっていて、短いスパンの目標に向かうときに効く戦略だ。逆にいうと、これを長期スパンでやるのは無理がある。

たとえば高校3年生の僕は5年後の「三井物産に就職」というキャリアプランから逆算して慶應に合格できたが、実際に入社したのは住友銀行だ。

また、大学のカラーはそうそう変わらないが、ビジネスの世界は違う。たった数年で潰れるはずのない大企業が潰れ、市場は一日で変わりうる。

さらに今は僕が高校生だった25年前とは違い、時代の変化がすさまじく速い。そんななかでキャリアの長期プランをつくったところで意味がない。したがって逆算も難しい。

僕の個人的な感覚では、5年プランはありえないし、3年でも長すぎると思っている。まして人生が100年もあるなら、そんな長い時間軸で未来を見通せるわけがない。

現実として僕は「5年後の自分」を予想できていたためしがない。銀行にいたときは銀行ですごくうまくいっていて、最後の1年であっても翌年にファンドに行くなど想像すらしなかった。

それでも企業買収ファンドに移ったわけだが、MBAよりも現場のほうが学びが多いと思っていたので、やがて留学してMBAを取るなんて全然考えていなかった。また、ファイナンス業界のアドレナリンでびしょびしょ状態のなか、NPOをやるなんてありえなかったし、起業するというイメージもなかった。