新卒でメガバンクに入り、企業買収ファンド、MBA取得を経て、ココナラの社長となった南章行氏。順風満帆にみえるが、南氏は、「人生を逆算して長期プランを立てるのは一見堅実そうだが、不確実な時代にはマイナスが大きい」という――。
※本稿は、南章行『好きなことしか本気になれない。人生100年時代のサバイバル仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
「逆算思考」で効率主義だった自分
僕はもともと逆算思考だ。
たとえば高校時代は自分なりに調べた結果「将来は三井物産に就職しよう」と決めて、そこから逆算して「慶應の経済学部に行く」と決め、そのために必要なことを極限まで絞って最小限の勉強をした。予備校にも通わなかった。
同級生たちの多くは自分の偏差値から行けそうな大学を選んでおり、進学校だったから「慶應を受けるなら早稲田も」という友人も少なくはなかったが、僕は一択だった。
一択にした裏には、父が経営していた会社の状況を考えるとお金をかけたくなかったという理由もあるけれど、何よりも「無駄がない」という最大のメリットがあった。
また、勉強のために何かをあきらめるという価値観を僕は持っていなかった。3年生になっても引退せずにラグビー部を続け、彼女とデートもするには、いろいろな勉強をやみくもにやっている時間はない。一方で、学力でいえば同級生には全然勝てるレベルではない。そんな自分が、的を絞らずに勉強して合格するわけがないと思っていた。