日本がすべきことは志ある若者への支援
援助する際は、デューディリジェンスと言われる難しい審査などしない。前述のように私は以前からビジネスコンテストの審査員をしていて、有力な事業計画には1000万円を超える投資もしてきた。そういう場合には取締役を派遣するなど、成功に導くため手取り足取り指導してきたが、SPOFではそこまで踏み込まない。
こちらは15年も起業家養成をやってきたわけだから、事業計画は5分も聞けば芽が出る話かどうか、すぐにわかる。しかし、キツイことは言わないで、「心意気があるならやってみな。この金は大事に使えよ」と肩を叩いて応援する、そういうファンドなのだ。
我々は教育機関をやっているのだから、自分たちが育てた学生を応援するのは当たり前。BBTの取締役会でも社外取締役を含めて皆大賛成してくれた。さしあたり1億円の資金で50口の資金援助を行っていくつもりで、昨年後半にスタートしてすでに4社に投資している。
大企業で起業支援を目的としたファンドをつくっているところもあるが、スタートから3年目には官僚化して、審査をガッチリやって、もう上場間違いなしという会社にばかり投資するようになる。投資の成功率で担当者が評価されるようになるからだ。
そもそも上場のステップには、資金調達の段階で、AからB、そしてCを経て上場するという3つくらいのラウンドがある。大企業の起業ファンドが入ってくるのは大体Cラウンドだが、我々はマイナスAラウンドから入る。起業家本人がやろうかやるまいか決めかねている段階で投資し、ポンと背中を押す。
綿密な事業計画を求めてギリギリ締め上げるわけではないから、成功率は高くはないかもしれないが、儲けは二の次だからそれで構わない。大事なのは経営を勉強しに来てくれた志のある人々が起業しようと思ったら、それを後押しすることなのだ。