日米欧中、どこが破綻してもおかしくない

ちょうど1年前、プレジデント誌を含め複数のメディアで、世界経済には互いに連関している「4つの地雷原」があるという話をした。4つの地雷原とは、ヨーロッパのソブリンクライシス(国家債務危機)、リーマンショック以降、低迷長引くアメリカ経済とドル危機、中国の不動産バブル、そして日本のギネス級の国家債務問題である。

これらの地雷は単独で爆発することはなく、雷管がつながっているので誰かがどこかの地雷を踏めば最終的には全部爆発して吹き飛ぶ。そういう警告を私は1年前に盛んに発していた。

あれから4つの地雷の状況はどうなったのか。世界の終末を午前0時に見立てた「核の時計」風に言えば、また1分1秒刻まれて午前0時に近づいたというところだろう。

ヨーロッパのソブリンクライシスはドバイショックに端を発している。ここから、「次(財政破綻先)はどこだ?」という連想ゲームが始まってギリシャが経済危機に陥り、さらにアイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリア、と次々に飛び火した。ギリシャやアイルランドなどの小国であれば財政支援による消火活動も可能だが、スペインやイタリアのようなEUの経済大国の危機が本格化すれば、ユーロ、EUの崩壊につながりかねない。

経済学者は、EUにとってギリシャはアメリカにとってのウエストバージニア州程度の規模であり、大騒ぎするレベルではない、と言う。しかしマーストリヒト条約でお互いに縛られたEUおよびユーロ経済圏は、合衆国のような政策の自由度がない。独仏は5ヵ月に17回も密談しているが、それでも有効な方策を見いだせないでいる。

そして1997年のアジア経済危機が98年にロシアや欧米に波及したように、ソブリンクライシスもいずれヨーロッパの枠組みを超えて伝播していく。連鎖反応が行き着く先は、前述のヨーロッパの国々よりはるかに財政状況が悪い日本だ。