中高年には苦でない早朝出勤も、若い社員にとっては大変
個人差に加えて年齢差も考慮したほうがいいでしょう。一生の間で体内時計がもっとも遅れるのは、男性21歳、女性19.5歳です。その年齢をピークにして体内時計は年々早まっていき、必要な睡眠時間も短くなっていきます。50~60代の中高年には苦でない早朝出勤も、若い社員にとっては大変なのです。
早起きできないのは早く寝ない本人のせいだ、という指摘も間違いです。睡眠のメカニズム上、人は夜更かしはできても、早寝することはできません。人間は大脳皮質が発達しているため、眠気がやってきても自分の意志で覚醒し続ける、つまり夜更かしすることは可能です。しかし、眠気は体温やホルモンの作用の結果であり、自分の意志で前倒しして早くやってこさせることはできません。
早起きを習慣化すれば朝型に変わるというのも幻想です。たしかに早起きして午前中に日光を浴びる行為を続ければ、体内時計が少しずつ前倒しされて、早起きが多少は楽になっていきます。しかし、朝型か夜型かは遺伝的な(体質的な)影響が大きく、週末に寝だめして遅く起きると、結局は体内時計が本来のパターンに戻ってしまいます。
健康やパフォーマンスに大切なのは、早寝早起きではなく、自分に合った睡眠パターンで眠ることです。職場ではフレックス制や在宅勤務などを導入して、一人ひとりの睡眠パターンに合わせた柔軟な働き方ができる体制を整えるべきでしょう。
▼夜型人間は早寝早起きしようとしても朝型になれない
(構成=村上 敬)