またアメリカとイランの衝突もトリガーになりうる。ホルムズ海峡危機で原油価格が高騰するのは今や資源輸出国のアメリカにとってはむしろプラスだが、実際にイランとのドンパチに突入すれば話は別。リスクオフによる株価下落は避けられそうにない。

リーマンショック時を超えた

ドイツ銀行の危機がリーマンショック級のインパクトを引き起こす恐れもある。メインバンクのドイツ銀行から巨額の資金をファミリービジネスに引っ張っているトランプ大統領は「優れた銀行だ」などと言っているが、どこをどう探しても優れているところは残っていない。特に酷いのは投資銀行部門で、救済不能のハチャメチャなディールを世界中、特に北欧と旧東欧圏で行っている。そこで生じた不良債権を縦横斜めにみじん切りして証券化し、ピカピカに仕立てた金融商品が世界中に出回っているのだ。そのような怪しげな金融商品の絶対額はリーマンショック時を超えたとも言われている。

もちろんマジックを駆使して株価を盛ってきたトランプ大統領がダメージを受けたり、失脚すれば株価に多大な影響を及ぼす。スキャンダルまみれの大統領だから、どこで地雷を踏むかわからない。また、パウエルFRB議長が正気に返って「You’re fired!」と言われる前に自分から辞表を叩きつける事態になれば、これもトリガーになるだろう。

株の世界には「What goesup must come down」という言葉がある。日本語に訳せば、「山高ければ谷深し」といったところだ。異常に跳ね上がったアメリカの株価に上昇理由は乏しく、今はまさに谷に向かう直前の状況にある。トランプマジックは剥がれ、市場ではトランプ自身の支離滅裂なツイッター相場がリスクそのものだ、という見方が定着してきた。やはり、歴史は繰り返されるのだ。

(構成=小川 剛)
【関連記事】
日韓貿易対立でわかった「文在寅大統領」の本性
景気悪化を「日本のせい」にしたい韓国の事情
アマゾンが日本で法人税を納めずに済む仕掛け
なぜ日本人は世界で一番「ハワイ」が好きなのか
日本は世界的にどのくらい住みやすい国なのか