事故物件で起こる怪現象を、実際に住みながらレポートしているライターの建部博氏は妻の妊娠をきっかけに、より広い部屋を探し始める。彼が次に選んだ新居は、一家4人が心中した4DKのマンションだった――。(第3回、全4回)

※本稿は、建部博『一家心中があった春日部の4DKに家族全員で暮らす』(鉄人社)の一部を再編集したものです。

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親子3人で暮らす新居が必要だが……

かつて入居していた4人が立て続けにうなされ、退去した豊島マンションでの生活は奇妙な出来事の連続だったが、さいわい嫁の妊娠というおめでたいニュースにも恵まれた。お腹にいる子はただいま7カ月で、性別は女の子と判明した。出産予定日は2010年10月中旬だ。

さすがに色々と考えさせられる。現在は義母の家に居候しながらときどき豊島マンションで暮らす日々だが、子供ができればこの生活ではいけないだろう。子供の顔は毎日見たいし、かといって義母に孫の世話をまかせるのも気が引ける。

やはり親子3人で暮らす新居が必要だ。豊島マンションなんぞにかかずりあってる場合じゃない。個人的な事情で申し訳ないがこれにて連載も終了か…。と、いったんは考えたのだが、はたしてそんなことでいいのかとの疑問も沸いてきた。子供ができたぐらいで仕事を放棄するのはいかがなものか。しばし悩んだ末、オレは結論を出した。

─次も心霊マンションを借りればいいのだ─

単純なことである。なにも幽霊物件は豊島マンションだけじゃない。3人で住める広さがあって、それでいていわく付きの部屋を借りれば、連載は継続できるじゃないか(タイトルは変わるだろうが)。しかもこれまでどおり、会社から家賃補助も出るだろうし。