「俺なんか、クラスLINEに招待されたの、35番目っすよ」

都内のある中3男子は自虐気味にこう言った。

「俺なんか、クラスLINEに招待されたの、35番目っすよ。40人クラスで35番……。存在感、薄っ! ですよね」

順番など、どうでもいいではないか? と思うのは大人の解釈で、彼らにとっては“クラスLINEの順番”も大問題なのだ。

厄介なことに、この時期、彼らは「自分の立ち位置からしか物事を見られない」となりがちだ。それゆえ、被害妄想ともいえる心理状態に追い込まれやすい。

先日、筆者の元に届いた不登校の高1男子の相談は「不意に出た自分のくしゃみの飛沫のせいで、周りに嫌われた気がする」(気がするに強調の点々)というものだった。

彼以外は覚えていない、ごく普通の日常の“出来事”が、彼の中で“事件”に昇華されたケースである。彼が特別なわけではない。こういう「嫌われたに違いない」という自分勝手な思い込みで悩みを訴える中高生は本当に多いのだ。それほど心が繊細だということの裏返しだろう。

24時間365日、LINEから逃れられない

さらに近年はSNSの発達によって、学校内だけではなく、自宅にまで容赦なく「(私たちと)つながれ指令」が発信され、24時間・365日、その狭い人間関係から逃れられないという実情がある。

そのため、子どもたちは一段と強固となった“同調圧力”の中で翻弄ほんろうされ続けている。それが子どもたちの人間関係をより複雑なものとし、最悪の場合には自死を選ばせかねないのだ。

とりわけさまざまなトラブルの元凶となっている無料通話・メールアプリのLINEを例に、その問題点を探ってみたい。

総務省の調査によると10代のLINE利用率は86.3%(平成29年「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」より)。つまり中高生のほとんどが利用しているといえるだろう。

平成29年主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率
主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の全年代・年代別利用率(平成29年「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書PDF)より

中高生に取材をしていて肌で感じるのは、明らかに「SNS疲れをしている」ということだ。

「スマホのない世界に行きたい」
「LINEなんて、なければいいのに……」

とつぶやく子が少なくないからだ。理由を聞くと「グループLINE=仲良しの証し」という方程式があるから、そこから外れることはできないという。そのため、そこからはじかれないように、彼らは細心の注意を払って生活している。