いずれにしても、政府から諮問を受けて組織化された会議体で、そこの有識者がまとめたものがこの報告書です。私たちは政府から任命を受けたことに対して、粛々とミッションを果たしたと、それだけのことだと思っています。

▼「老後資金」報告書とは?
金融庁金融審議会の下部組織「市場ワーキング・グループ」が19年6月3日に公表した報告書。題名は「高齢社会における資産形成・管理」で、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦だけの無職の世帯は、平均で毎月、公的年金を中心とする収入が支出を5万円下回る「赤字」になると試算した。この夫婦がさらに20年生きると約1300万円、30年の場合は約2000万円、預貯金などの金融資産を取り崩す必要があると指摘。野党らから、年金について「100年安心」としてきた政府の説明と矛盾すると批判が強まった。
▼「老後資金」報告書のポイント
●年金だけでは老後の資金を賄えず、95歳まで生きるには夫婦でおよそ2000万円の蓄えが必要と仮定。●少子高齢化で年金の給付水準の調整が予想され、不足額はさらに拡大する。●現役期、リタイア期、高齢期といった人生の段階別に資産運用、管理の心構えを説明。●運用方法として長期・積立・分散投資の資産形成(「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」など)を推奨。●退職金はピーク時から3~4割減っており、今後も減少傾向が続く可能性も指摘。
▼これまでの経過
19年4月4日
●財政制度等審議会(財政審)の財政制度分科会が建議策定に向けた会合を初開催

19年6月3日

●「老後に夫婦で2000万円の蓄えが必要」と試算した報告書を金融庁金融審議会が公表

19年6月6日

●財政審会合で、「自助努力」の必要性などを盛り込んだ建議の原案を委員に提示

19年6月11日

●麻生太郎財務相兼金融担当相が金融審の報告書を「受け取らない」と表明

19年6月19日

●安倍晋三首相が「大きな誤解が生じた」と発言。財政審が「自助努力」など、一部表現を削除した建議を麻生氏に提出
▼メンバー高揚し、議論は白熱した「市場ワーキング・グループ」メンバー名簿
座長
●神田秀樹/学習院大学大学院法務研究科教授
委員
●池尾和人/立正大学経済学部教授●上田亮子/日本投資環境研究所主任研究員●上柳敏郎/弁護士(東京駿河台法律事務所)●鹿毛雄二/ブラックストーン・グループ・ジャパン特別顧問●加藤貴仁/東京大学大学院法学政治学研究科教授●神作裕之/東京大学大学院法学政治学研究科教授●神戸孝/FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役●黒沼悦郎/早稲田大学法学学術院教授●駒村康平/慶應義塾大学経済学部教授●島田知保/専門誌「投資信託事情」発行人兼編集長●高田創/みずほ総合研究所副理事長エグゼクティブエコノミスト●竹川美奈子/LIFE MAP,LLC代表●佃秀昭/企業統治推進機構代表取締役社長●永沢裕美子/Foster Forum 良質な金融商品を育てる会世話人●中野晴啓/セゾン投信代表取締役社長●野尻哲史/フィンウェル研究所代表●野村亜紀子/野村資本市場研究所研究部長●林田晃雄/読売新聞東京本社論説副委員長●福田慎一/東京大学大学院経済学研究科教授●宮本勝弘/日本製鉄代表取締役副社長
オブザーバー
消費者庁/財務省/厚生労働省/国土交通省/日本銀行/日本取引所グループ/日本証券業協会/投資信託協会/日本投資顧問業協会/信託協会/全国銀行協会/国際銀行協会/生命保険協会(敬称略・五十音順)
※肩書はすべて当時のもの