年金だけでは、老後に2000万円不足すると指摘し注目を集めた金融審議会の報告書。だが、報告書の主題は年金ではないという。作成メンバー1人、セゾン投信中野晴啓社長に「本当に伝えたかったこと」を聞いた。

報告書で伝えたい3つのテーマ

まず、金融審議会「市場ワーキング・グループ」がまとめた話題の報告書のメーンテーマは、マスコミや政治家が騒いでいるような年金の問題ではありません。

セゾン投信・代表取締役社長 中野晴啓氏

そもそも報告書をまとめた市場ワーキング・グループのメンバー21人のうち、年金の専門家といえる方は、1人しかいない。それに公的年金の担当官庁は厚生労働省。日本の官庁の慣行からいっても、金融庁が事務局となっているワーキング・グループが、年金をメーンテーマにして議論するなんてありえないわけです。

最初のわれわれの問題意識は、将来において、一人一人が納得のいく豊かな人生を送るために、各自がどういう行動を取る必要があるかということでした。

この課題を議論するに際して、われわれを取り巻く環境がどうなっているかを整理したわけです。少子高齢化の構造や社会保障の実情と今後の方向性などを検討したわけですが。当然、年金制度も対象になりました。つまり、環境の分析は、本論を論じるための序章という位置付けなのです。ですから、われわれの主張は入っていません。