そんなことはメディアもわかっていたはずですが、年金部分だけを大きく取り上げて報道されました。

時事通信フォト=写真

このため年金に関する報告書ではないのに、社会には年金に関する報告書だと受け止められてしまった。たしかに表現の仕方など、われわれにも反省点はあります。ただメディアには、2000万円にばかりフォーカスして大騒ぎし、報告書の本質を一切報道しない姿勢が誠実といえるかどうかを問いたいです。

さて「市場ワーキング・グループ」は、金融行政が課題として抱えていることをしっかりと議論していくことが目的で、実際に今回、議論したテーマは3つ明確に定められていました。

1つ目が、金融業界における顧客本位の業務運営のさらなる実践について。2つ目が、長期・積立・分散投資のさらなる社会への浸透。そして3つ目が、高齢社会を踏まえた金融サービスのあり方、です。最初からこの3軸ははっきりしていました。これらを一つ一つ議論し、これから本格的にやってくる高齢社会を大前提にしたときに、3つのテーマがどうあるべきかをまとめたものが、この報告書なのです。

言い換えると、強烈に進む高齢社会において、一人一人の生活者の人生づくりに、何が必要かを問いかけた課題提起の報告書になっているのです。