日本の技術力を用いて生産性を高めてきた韓国

足許、韓国経済の基礎的な条件=ファンダメンタルズは不安定化している。それに伴い、韓国銀行(中央銀行)は、7月18日の金融通貨委員会(金融政策を決定する会合)で予想外の利下げに踏み切った。

その背景には、韓国の経済成長を支えてきた半導体の輸出が伸び悩み、経済の先行き不安が高まっていることがある。2017年以降、スマートフォンの需要は飽和し出荷台数は減少している。データセンターへの投資も振るわず、世界的に半導体の生産能力には余剰感が出ている。韓国の輸出、設備投資ともに増加する展開は想定しづらい。

4~6月期、韓国経済の実質GDP成長率は、政府支出の増加に支えられて前期比1.1%成長した。ただ、半導体に代わる成長のけん引役が見当たらない中で、韓国経済が持続的な成長を目指すことは口で言うほど容易なことではない。

韓国銀行はわが国の対韓輸出管理の見直しが、経済の下振れリスクを高めるとの警戒感も示した。特定3品目の輸出管理見直しに加え、わが国が韓国を"ホワイト国"から除外すると、韓国経済には無視できない影響が及ぶだろう。なぜなら、韓国はわが国の技術力を用いて半導体の生産能力を高め、成長につなげてきた側面があるからだ。

ホワイト国の認定/除外は、他国に干渉されるものではない

理論上、ホワイト国からの除外が決定し、実際に輸出の手続きが変更されると、わが国から韓国に輸出される食料品や木材などを除く1000以上の品目の輸出許可が、包括許可から個別許可に切り替わる。どの品目が対象となるかは、わが国の意思決定次第だ。ホワイト国の認定、あるいは除外はわが国の判断であり、他国に干渉されるものではない。

以上を踏まえると、わが国の制度運用(どの品目の手続きを厳格化するか)によって、韓国企業の活動にはかなりの影響が出る恐れがある。韓国ウォンやソウルの株式市場の動きを見る限り、市場参加者はホワイト国除外への警戒感を高めているとは言いづらい。ただ、楽観は禁物だろう。