努力が結果につながる人とつながらない人は、どこが違うのか。女子プロテニスの大坂なおみ選手を世界一に導いたコーチ、サーシャ・バイン氏は、「練習ではフォーカス、集中力、質問の3つが重要だ。この3つが欠けていれば、それは練習とはいえない」という――。

※本稿は、サーシャ・バイン『心を強くする 「世界一のメンタル」50のルール』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

写真=EPA/時事通信フォト
2018年3月18日、BNPパリバ・オープンでツアー初優勝を果たした大坂なおみ(右)を祝福するサーシャ・バイン・コーチ(米カリフォルニア州インディアンウェルズ)

「フォーカス」なくして、練習とは言えない

スキルの鍛錬に大切なことはまず二つ。

一つは何を伸ばすか焦点を絞る、つまり「フォーカス」すること。そしてもう一つは、「集中力の持続」だ。

フォーカスに注意を払う人はすくないが、決して無視できない。また、集中力を持続できなければ成功はおぼつかない。ミュージシャンであろうと俳優であろうと、あるいはビジネスパーソンであろうと、集中力の持続は成功と失敗を分ける鍵である。

テニスでも、トーナメントで結果を残せるかどうかは、「ハイレベルの集中力をどれだけ持続できるか」にかかっている。すべては練習用コートからはじまるのだ。テニスに限らない。練習で結果を残したかったら、磨きをかけたい項目を絞って、そのトレーニングに時間をかけることだろう。

積極的なボディーランゲージを活用したい。意識的に大声を出すことで脳をだますと、ポジティブな思考に導くことができる。自分の表情にも注意。それは絶えず相手にメッセージを送っているのだから。

集中力を持続させる訓練を意識的に取り入れる

私はどのプレーヤーにも、練習中、集中力を持続させるように説いてきた。なおみと組んだ頃、彼女は試合中、集中力が途切れるようなシーンを何度か見せた。それがなおみの足を引っ張って、超美技を見せるかと思えば凡ミスをするような試合ぶりにつながっていた。それが気になったので、あるとき練習後に、なおみにこう注意した。

「今日はちょっと、気がのらなかったみたいだね。試合中にも、ときどきスイッチが切れるときがあるみたいだ。それでも勝てるからいいんだが、もし本当に成長したかったら、フォアハンドの練習と同じくらい、集中力を持続させる訓練を積んだほうがいいよ」