貯蓄率3期連続トップはなぜ福井県なのか?
最後に、貯金の好きな県民はどこか、という疑問に答えよう。5年ごとに実施される全国消費実態調査による都道府県別の貯蓄率比較を図表3に掲げた。直近2014年の値や分布図とともに04年から3期のランキングを示している。勤労者世帯の値なので前2図と比較して貯蓄率の水準は高い。
貯蓄率は、高齢者が多い地域ほど高くなる傾向がある。しかし、ここでは、対象が勤労世帯のみであるので地域により大きく異なる高齢化の影響は受けにくくなっていると考えられる。
これによれば、最も貯蓄好きな県は福井であり、山梨、秋田がそれに続く。貯蓄せずに使ってしまう比率が高いのは大分、岩手、宮城の順となっている。
貯蓄率の地域特性としては、日本海側が高く、太平洋側が低いという傾向が認められる。東北でも秋田、山形が高く、岩手、宮城が低い(前回調査の2009年でも同様のパターンであり、東日本大震災の影響ではなさそうである)。また、北陸が高く、東海が低い。さらに、鳥取、島根が高く、瀬戸内・四国は高くない。北陸の中では石川だけが例外的に低い。やはり消費都市の雄・金沢をかかえているためだろうか。
筆者の推測によれば、日本海側と太平洋側との違いなので、おそらく積雪が関係している。積雪地帯の県民には、雪が降って物資の調達に支障が出ることを見越して「貯めておく」という精神態度が身についているのではないだろうか。
貯蓄率 北陸が上位、九州が下位という傾向
都市化との関連では、東京、大阪、名古屋といった東西の大都市圏では貯蓄率が高い地域は見当たらないが、かといって特段低いという特徴もない。
過去からの推移をランキングで見ると、各県とも、毎回の調査で順位の変動がかなり大きい点が目立っている。図1で見た各国の動きでもそうだったが、貯蓄率は種々の事情の影響を受けて変動しやすい指標だといってよいだろう。
それにもかかわらず、福井県が毎回トップであるのが印象的だ。また、概して北陸が上位、九州が下位という傾向が認められる。なぜ、九州が低いのかについては、さらに追究が必要だ。