さらに、こどもびいるで開拓した流通網を活かして、飲食店での展開を狙って販売をスタートしたのが復刻版の瓶入りサイダー「スワンサイダー」でした。炭酸飲料の市場は、資本で勝る大手メーカーが圧倒的なシェアを占めています。全国的に見ても中小企業はどんどん少なくなっていました。

旧社屋で会社の歴史を展示●創業当初の社屋を改修し「友桝飲料展示資料館」を開設。ラムネ充填機や創業当初のガラス瓶、二代目友田軍平の家訓を写真とともに展示している。

「ラムネ業者が生き残るには、大手から仕事を請け負って製造工場になるしかないのが現実でした。でも、それではこれまでのラムネや瓶入り炭酸飲料の歴史を絶やすことになってしまう。それは忍びなかった。ここであがこうと思ったんです」

思いを込めた瓶入りのスワンサイダーですが、1度はメニューに並べても、続けて仕入れてくれるお店は多くはありません。ところが、思わぬところで販路が広がります。お中元やお歳暮というギフト需要を発掘したのです。

「新しい販路を探しているなかで、贈答用の需要として高島屋さんで採用が決まりました。はじめは1000セット程度を考えていたものの、アッという間に5000セットが売れた。瓶入りサイダーにはデパートなどでのギフト需要があるとわかり、さらにそこから自家需要も高いということがわかったのです」

このようにして新しい取り組みをはじめるというマインドセットを持つことで、マーケットとチャネルを開拓していきます。そしてさらに瓶入りサイダー製造を起点にはじめたODM(Original Design Manufacturing)は事業拡大を加速させます。

まずは商品化という姿勢が事業の拡大につながっている

贈答用の需要が広まるなか、全国各地から「うちの特産品で、ご当地サイダーができないか」という問い合わせが相次いだのです。

「『こどもびいる』という識別力のある商品が広告塔になってくれて、自然と問い合わせが増えた。やはり、ターニングポイントになった商品でしたね」

そこから持ち込まれる商品開発の相談に必死に応えるうちに、長崎の「温泉レモネード」、香川・小豆島の「オリーブサイダー」など数々のご当地サイダーを協力開発、製造することに。結果的に、ODMのノウハウを確立できたのです。

最近では「週刊少年ジャンプ」などの人気漫画・アニメキャラクターをラベルにしたサイダーを発売するなど、チャネルをますます拡大しています。

また、ここ数年の炭酸水ブームが起こる前から、アルコールの割り材として瓶入りの炭酸水も発売しています。「友桝の炭酸水はバカみたいに炭酸が強いとのお客様からの声を受けて、では可能な限り強くしてみようと」。そんな遊びゴコロで作ったのが、強炭酸水の「VOX」。これは、いま起きている強炭酸水ブーム・市場を先取りした商品になりました。さらに、小城の天然水を利用した炭酸入り天然水を発売。いまでこそスパークリング天然水は大手各社も販売している商品ですが、友桝飲料は先駆けて世に出していました。この炭酸入り天然水は売り上げの中核に成長しています。