【Before】

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(1)「~すべきだ」という文書ではアジテーションになってしまう。前置きはもう少し軟らかな表現でもいい。

(2)提案を求めるならば上司が率先して具体的な数字を示すべきだ。

(3)指示書のなかで上司の意図をはっきりと示すことが重要だ。「見直し」としてぼかすのではなく、「回数の削減」や「廃止」といったレイヤーまで踏み込む。

(4)提案の募り方は「攻め」と「守り」で違う。攻めの提案は自由に募ったほうがいい。情報漏れのない素早い意思決定が必要だからだ。だがコストカットなどの守りでは、部署ごとに意見を取りまとめなければ組織が混乱する。

【After】

(1)動かぬカエルにはヘビを見せよ…私はよく「ゆでガエル症状」を例に出す。水のなかにカエルを入れ徐々に熱すると、たとえ水が沸騰してもカエルは熱さに気づかない。「とても無理だ」という目標設定が、前例のないマヌーバリング(軌道変更)を引き起こす。カエルにはヘビを見せなくてはダメだ。

(2)後ろ向きだけだと失敗する…指示をクリアに個条書きすることは重要だ。ただし、「マスト」ばかりだと堅苦しくなる。「チャレンジ」のような前向きの要素も用意しておかないと、うまくいかない。

(3)日程の主導権はこっちが握る…デューデイト(日程管理)も、わざときつい目標を課したほうがいい。達成できなければ、再設定すればいい。マージン(余白)はこちらが握っておき、決して主導権は渡さないことが上司の務めだ。

(4)情報公開の徹底で危険信号を察知…現場の人間は事業の行く末に関して、驚くほどのんきだ。部下に対して見栄を張っても仕方ない。たとえマイナス情報であっても発信すればフィードバックが得られる。

(芳地博之=撮影 西川修一=構成 星野貴彦=事例作成)