「令和おめでとう」はしごして祝儀を渡す

「昔はね、『銀座で、俺は金を使ってるんだ』といった横柄な態度の人も目についたし、クラブのスタッフに対するイジメもありました。今は、お金を持っている人ほど優しいし、昔みたいにチップをはずんでくれる人もいます。そういうお客さまには、お店の子たちも、ワーッと盛り上がりますよ」

銀座の高級クラブの特徴といえば、やはりそこで働く女性のレベルがかなり高いこと。当然、ホステスを目当てに来る客も多い。「銀座ブランドのホステス」を1000人以上も誕生させた高橋氏のメガネにかなうのは、どんな女性なのか。

「顔は二の次です。それよりもスタイルのよさ。背が高い子は銀座という街で、サナギが蝶に変わるように、いずれ化けることができる。こうした可能性のある子ほど、きちんと私の話を聞こうとしてくれます。声をかけるのは、銀座の街を歩いていて原色の明るい光が差している子だけにしています」

最近は交際費に関して厳しい会社が増えている。二次会が禁止になったり、1度に使える交際費の額が前年の半分になるなど悲痛な叫びも聞こえてくる。それでも豪快に銀座を楽しむ人はまだまだいる。

銀座の男としては高齢の80歳、ダンディーな遊び方を知っていると評判の上場企業のメーカー2代目社長だ。銀座を愛する社長は若い頃から高級クラブに足を運び続けてきた。亜紀ママが感嘆し、こう話す。

「楽しませ、癒やしてくれる銀座の方々へお礼の気持ち込め、毎年11月末に慰労会を兼ねたパーティーを開いてくださるんです。バーテンダー、ホステス、飲料メーカーさん、デパートの方など30名ほどが招待されます。お正月にはお年玉をみんなに渡すため、銀座を何軒も飲み歩きます。令和時代がスタートしたときも、『令和おめでとう』といって、お祝いを渡して歩いていました。バブルの頃にはこういう方もいらっしゃいましたが、今はなかなかお見かけしないと思います」

この2代目社長は、人にプレゼントをするのが好きだという。亜紀ママもあるとき、デパートの着物の展示会の案内状を渡され行ってみると、その社長担当の外商の人から声を掛けられ、反物、帯が用意されていた。

「気に入ったバーには絵画をプレゼントしますが、嫌みはなく、ギラギラした感じも全くない、本物の紳士です。もちろん女性を口説くことは絶対にありません。銀座らしい、豪快な方だと思います」(亜紀ママ)

銀座の粋な飲み方として、気遣いのできることも大きなポイントで、老舗クラブのママが話してくれたエピソードは面白い。

歌謡曲の作詞もする有名家具製造販売会社の創業会長は、カラオケでマイクを握ると、茶目っ気たっぷりにその曲を歌い始める。猛烈経営者のイメージの強い会長だが、周りに気遣いをし、とてもかわいらしいという。勝負どころでは勝負をかける、やんちゃな勝負師的な男らしさが魅力的な人物だという。