警告か、逮捕か、してほしいことを明確にする

「警察の敷居は高いものではありません」

そう語るのは、元埼玉県警の警察官で危機管理コンサルタントの佐々木保博氏。警察は民事不介入だと思う人も多いが、それは過去の話だとか。

「警察が民事不介入を理由に動かなかったことが原因で、殺人事件を含む刑事事件に発展するケースもあります。それを未然に防ぐため、民事でも動くのです」

佐々木保博●危機管理コンサルタント、セーフティ・プロ代表取締役。埼玉県警察官として28年間勤務。退職後は「民間警察」として困っている人に解決策を提供するセーフティ・プロを設立。

ただし警察に「動いてもらう」ためのポイントはある。1つは「目的」だ。「ストーカー被害者に多いのですが、『嫌な思いをしている』と訴えるだけでは警察も動けません。ストーカーは警察からの『警告』でも効果があることが多い。警告なのか、逮捕なのか、してほしいことを明確にすれば動きやすくなります」

「時間帯」も重要だ。夜間や休日に相談に行くのは避けよう。警察は24時間活動しているが、平日17時以降と休日、祝日は当直体制で人手が足りていない。当直の警察官の「専門」も、まちまちだ。

「緊急時以外は、平日昼間に警察署に電話予約して行ったほうがいい。#9110(警察相談専用電話)は夜間も受け付けますが、平日昼間がベター。夜間はいたずら電話が多くて、110番なのに『話し中』になるぐらいですから」

また、「証拠」を集めることも大事だ。警察は法的証拠がなければなかなか動けない。だからといって警察自身が証拠を集めるのも、時間的・物理的に難しい。そのため、「できる限り自分で証拠を集めることが重要」だという。

ストーキング被害なら、スマホの履歴画面を撮影しておくなど加害者からのメールや電話の履歴をとっておけば、立派な証拠になる。経緯が明確にわかるように、何時何分に何が起きたのか、事実関係を紙にまとめよう。「何か言われたのか、後をつけられたのなら、いつ、どんな様子だったのか。A4で1枚程度でも書いてもらえれば十分です」