異業種進出数でみると、グーグルとアマゾンが先行しており、アップルが猛追する構図である。巻末の参考図表2~4によると、グーグル、アップル、アマゾンの3社は同事業で競争しているケースが多いのに対し、フェイスブックは現段階で進出分野こそ少ないが、画像や動画データ収集に特化する傾向がみられる。
現時点でGAFAの全4社が進出し、GAFA間競争も激戦となっているレッドオーシャンの産業は、図表の上段の5分野(全20分野の25%)であり、さらに3社が進出しレッドオーシャンになりつつある中段の7つの産業分野も含めると計12分野(同60%)に達しており、競争環境は厳しい。しかし、それらの産業の全てのデータをGAFAが収集できているわけではない。進出が少ないブルーオーシャンの産業も8分野あり、必ずしもGAFAの独壇場ではない。
さらに、GAFA各社は、早くも今後参入を強化していく産業分野およびIoT機器を限定し始めているようにも見える。グーグルは自動運転分野、会話型AI技術(Google Assistant)、アップルは医療・健康分野、ウエアラブル機器(Apple Watch)、フェイスブックはコミュニティー分野、画像・動画配信、VR機器(Oculus)、アマゾンは小売り分野、クラウド事業(AWS)、である。
日本企業巻き返しのチャンス
IoTデータ活用に重要な役割を果たす、第5世代移動通信規格「5G」の商用サービスは、すでに昨年、米国と韓国を含む8カ国が開始し、今年は中国・英国を含む11カ国が開始する見通しである。日本は来年の開始を目指している。
日本のスタートは少し後れを取る一方で、各産業分野でGAFAがカバーできていない領域を中心に、GAFAより先にビッグデータを利活用し事業創出できる余地があると考えられよう。巻き返しのチャンスでもある。
(注1)経済産業省委託調査事業 調査受託者:株式会社NTTデータ経営研究所「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査 結果速報」(2018年11月5日)
(注2)Statcounter GlobalStatsウェブサイト
(注3)IDC Japan株式会社 2018年3月15日プレスリリース「2017年第4四半期および2017年 世界および国内ウエアラブルデバイス市場規模を発表」
(注4)注2と同じ
(注5)日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部「『ジェトロ世界貿易投資報告』2017年版~転換期を迎えるグローバル経済~総論編 概要」(2017年7月31日)(原出所)“Passport”(Euromonitor International)、UNCTAD、国際電気通信連合(ITU)、世界銀行から作成
(注6)総務省「平成28年版 情報通信白書」
大和総研 政策調査部研究員
慶應義塾大学経済学部卒業、京都大学大学院公共政策教育部修了(MPP)、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了(MMA)。大手情報通信企業の新規事業企画開発職を経て、大和総研 政策調査部研究員として勤務。調査研究の専門分野は、ヘルスケア・医療・介護、地域経済・産業、データ利活用の経営戦略・産業動向等。