菊原氏も話の中に「間」を入れることで挨拶やプレゼンに緩急やリズムが生まれ、同じ話が何倍も面白く感じられる効果があるという。

立て板に水の営業トークに顧客があまり耳を傾けないのと同じように、一本調子の挨拶というのはどこか退屈に感じられてしまうものなのだ。

「例えば、挨拶する中で、『(業績が)○○となったのは、ある理由がありました。その理由とは……』と少し間を置く。すると聞いている人は『なんだ?』という顔で前のめりになる。あるいは、大事な話をする直前に、『これから〇〇の話をしてもいいですか?』とひと言前置きして、聞き手に心の準備をしてもらうのも効果的な挨拶の方法ではないでしょうか」(菊原氏)

謎かけをして聴衆の想像力や思考力を誘発

「謎かけ」も挨拶の中に入れ込むと聴衆を引き付けることができる。谷原氏も講演やセミナーで使っているという。

例えば、「今回は○○という結果になりましたが、実はある方法を使えばその結果を回避できるのです。なぜでしょうか。その方法をお話ししましょう」といった形で誘導するのだ。

「心理学にツァイガルニック効果という言葉があります。人は達成できなかった事柄や中断している事柄のほうを、達成できた事柄よりもよく覚えているという現象のことです。謎かけや問いかけをしたあとの『結果』を人々は知りたい。想像力や思考力を誘発することで、話をより充実したものとすることができるのです」(谷原氏)

挨拶にはこうした戦術も必要だ。

菊原智明(きくはら・ともあき)
営業サポート・コンサルティング代表取締役
関東学園大学経済学部講師。豊富な営業経験をもとにした『営業1年目の教科書』(大和書房)など、著書多数。
 

谷原 誠(たにはら・まこと)
弁護士法人みらい総合法律事務所・代表者社員弁護士
税理士。企業法務、交通事故訴訟などを扱う。『「沈黙」の会話力』(フォレスト出版)など、著書多数。
 
(撮影=原貴彦 写真=AFLO、PIXTA、iStock.com)
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