仕事の現場▼仕事は挨拶が9割である
挨拶で相手の心と心臓をつかみ取る気迫を持て!
挨拶は人と人とのコミュニケーションの基本。とりわけ取引先などと相対する営業の現場では、ビジネスの本題に入る前の挨拶が極めて重要になる。仕事がうまくいくかどうかは挨拶にかかっている、といった強い意識を持つ経営者も少なくない。
例えば、日本最大級のホテルチェーン、アパホテル社長の元谷芙美子氏はプレジデント誌で以前、次のように語っている。
「商談では、私がお客さまを最前線で待ち、真っ先にご挨拶します。不動産契約などの大きな仕事は、最初の出会いがすべて。挨拶は『居合抜き』みたいなものです。『おはようございます』『お待ちしておりました』『いらっしゃいませ』。相手さまの心と心臓を一瞬にしてつかみ取らなければ、言葉にする意味もありません。私より先に挨拶できる社員や、お客さま、今までそんなに会ったことがないですね」(2019年2月18日号)
居合抜きの精神で相手の心と心臓をつかみ取る気迫……。それくらい面会の「冒頭」の挨拶にエネルギーを注ぎ込んでいるということだろう。
しかし、元大手ハウスメーカーのトップセールスで、その豊富な経験をもとにした営業術の書籍を55冊出している営業コンサルタントの菊原智明氏は、「挨拶をなんとなく済ませてしまっているビジネスマンが多い」と指摘する。
「せっかく時間をとって顔を合わせるのですから、しっかり挨拶の準備をし、戦略を立てるべきです。初対面であれば、なおさらのこと。相手に与える第一印象で挨拶が占める割合は思いのほか大きいのです」(菊原氏)
取引先・初対面の相手のSNSで事前に情報ゲット
ビジネスの始まりは名刺交換だ。菊原氏は、「面会予定の人が勤める企業のウェブページや個人のブログなどを事前に調べることが、いざ顔を合わせたときのネタになり、商談などの勝負の分かれ目になる」と話す。
「営業のテクニックで『アイスブレイク』というものがあります。その言葉(氷を溶かす)通り、初対面の顧客との緊張感をほぐし、抵抗感をなくすような会話をすること。その際、相手企業の最新動向などを仕入れれば挨拶や雑談もスムーズにできます」(菊原氏)
上場企業であればIR情報の中に決算説明資料などがパワーポイントや映像でまとめられていることもある。そこから、名刺交換時の挨拶や言葉のやりとりに生かせるキーワードを抽出しておくのだ。