アタマの中の写メ機能で英単語を記憶する

イーオン社長の三宅義和氏(撮影=原 貴彦)

【三宅】さすが凡人とは思考回路が違いますね。辞書は引かれるタイプでしたか?

【西成】辞書は文字通り穴が開くまで読んでいましたね。どのページも赤ペンで真っ赤で、それがブワっと広がったまま閉じないくらい使い込みました。調べだしたら止まらないんですよ。言葉を調べようと思ってパラパラめくると別の知らない単語が目に止まる。それを読むとまたわからない言葉がでてくる、みたいな感じです。でも若い頃は何でも覚えることができるんですよね。

【三宅】それで思い出しました。西成さんは特殊な特技がお有りだったんですよね。

【西成】そうですね。高1ぐらいでそれを失いましたが、昔、写真記憶という特殊な能力を持っておりまして、ページをじっと見てからパッと目を閉じると全部覚えている。今でいうと頭の中に写メ機能がある感じですね。

若いうちに文法をやらないと後々面倒

【三宅】その能力が失われた高校以降はどうだったんですか?

【西成】しょうがないので普通に勉強をしましたけど、中学までの貯金のおかげで英語の読み書きはずっと得意でした。ましてや東大を目指していたのでいろんなことを知らないといけないと思って、例外的な文法やネイティブも知らないような慣用句、誰も読めない難解な文章などをひたすら勉強していました。駿台予備校に伊藤和夫先生の英文解釈教室というマニアックな講座があったのでそれに通ったり、あとは本を買ったりして、周囲からすれば「これはただの悪文で書いたほうが悪い」みたいな文章をわざわざ読んで鍛えていました。

【三宅】私も高校のとき難解な英文章を読み解くのが好きだったのですが、今のお話を聞くとまったくレベルが違うような気がします。

【西成】いやいや、そこまでではないですけど、おかげで高3くらいになるとネイティブにも負けないくらい読み書きに関しては自信がついていました。半分趣味でしたけど。

【三宅】本当に独特の勉強法ですね。今の中高生に参考になる話といえば、やはり文法をしっかりやっておくことは大事だと思いますか?

【西成】はい。おそらく若いうちに文法をやっておかないと後々面倒だと思います。年齢が上がれば上がるほど理屈がないと頭に入らなくなりますから。その点、小さいときから学んでおけば理屈なしで頭に入りますし、それこそがネイティブの強みだと思います。

【三宅】なるほど。そこで少し難しいのは小さいときにあまりルールから入ると、語学を嫌いになってしまう危険があることですね。

【西成】はい。だからバランスでしょうね。