戦後最長の景気拡大とリーマンショック
金融危機で大きく体力を落とす中、日本経済にとってまたとない幸運が訪れました。米国では、普通なら貸せない低所得者にまで融資する「サブプライムローン」が開発され、その結果、住宅バブルが発生しました。それに伴い、米国経済の約7割を支える個人消費も年率7%台の伸びも記録しました。
また、ほぼ同じ時期に、欧州では通貨ユーロ登場によるバブルが発生しました。それまでは経済的に弱いスペインやイタリアは高金利だったのですが、ユーロが導入されたおかげで、金利が下がり、スペインでは住宅バブルが、イタリアでも高級車の輸入が増加しました。
そのおかげで、輸出国のドイツなども大きな恩恵を受け、EUは実力以上の成長をしました。当時の世界の2大市場である米国とEU経済にバブルが発生したのです。
さらに、そのおかげで中国経済が10%程度の成長を続けたのです。中国にとって米国やEUは大きな貿易相手地域ですから、両地域の成長は、中国経済にもとても良い影響を与えたのです。そのことが、瀕死の日本経済にも恩恵を与えました。日本からの中国への輸出や投資が急増したのです。平成14年(2002年)から19年(2007年)まで、成長率は低かったものの、戦後最長(当時)の景気拡大をしたのです。
しかし、バブルはしょせんバブルですから、バブルの崩壊が世界経済を襲ったのです。平成20年(2008年)にはリーマンショック、その後は世界同時不況やユーロ危機と、世界経済は大きな危機を迎えました。もちろん、日本経済も大きく後退しました。
避難通貨として円が買われたことで円高となりグローバル企業の業績がさえず、また、民主党政権の出現と経済政策の停滞、さらには、平成23年(2011年)3月の東日本大震災などにより、日経平均も一時、7000円台まで落ち込みました。
「異次元緩和」という時限爆弾
平成24年(2012年)12月に自民党政権が復活し、翌25年(2013年)4月からは「異次元緩和」とまで言われた日銀の金融政策が始まったのです。当初2年間で、インフレ率を2%にまで上昇させるということでしたが、なかなかそれはかなわず、緩和を拡大しながら、マイナス金利政策まで導入していますが、結局開始から6年たっても、インフレ目標は達成できていません。
その間、今年の1月まで景気拡大が続いていれば、平成14年~19年までの期間を抜く「戦後最長」の景気拡大となりますが、こちらは、金融緩和という「カンフル剤」の影響とともに、主には、リーマンショック後に成長を続けた米国や中国経済の拡大に支えられた部分が大きいと私は考えています。