ファッションの裏にも経済のメカニズムあり

【高井】経済って、伝え方を工夫すれば、誰だって興味が持てるし、面白い分野のはずなんですよね。お金を使わない人はいないわけだし、消費者として普段使っているスマホやファッションなんかも裏側には経済のメカニズムがある。会社員や起業家になれば経済はど真ん中のテーマです。しっかりした視点が持てると全体のつながりがわかってきて「もっと知りたい」と興味が広がるはずです。私自身、経済記者になって1~2年たってから、「世の中、全部つながってんのか!」と加速度的に経済が面白くなりました。

【横川】おカネの教室』はそういう視野の広がりみたいなところまでカバーしているのが、実用書やノウハウ系が多いマネー本と違いますよね。生活保護とか政治や仕事への向き合い方なんかの、大人もきちんと知っておくべき内容が盛り込まれてる。

横川楓さん×高井浩章さん(撮影=インプレス「しごとのわ」編集部)

若者が変わらないと日本全体も「詰む」

【高井】経済について学ぶのをパスしてきた大人も、若者と並ぶメインターゲットで、実際、読者の大半は大人です。「子どもに読ませようと思ったら自分もよくわかってなかった」って声はすごく多い。でも、やっぱり一番読んでほしいのは若い世代かな。若者が世の中を変えてお金と経済をうまく回す主役になってくれないと、大げさじゃなく、日本経済が行き詰まっちゃうんです。そのためには、社会を若者のためのものに変えていかなきゃいけないし、若者自身にも変わってほしい。

【横川】お金のリアル』では、最初に「お金は人生の選択肢を増やすためのもので、そのためにお金と向き合っていくことが大切」ということ、締めくくりでは「お金も人生も、自分で豊かにしていかないといけない」というメッセージを書きました。これからを生きていく私たちやもっと下の世代は、知識をしっかり身に付けて、新しいモノはどんどん取り入れて、自分たちの環境を自分たちで変えていかないと、何もしない人は取り残されて行ってしまう。今もそうだし、これからもっとそういう時代になっていくと思います。

【高井】世代論で物事を単純化するのは好みじゃないですけど、団塊の世代やバブル世代、その下の私たちの世代は、若者を応援して、邪魔しないようにしますね(笑)。これは大学生、高校生、中学生の三姉妹のお父さんである私の切実な願いでもあります。

横川 楓(よこかわ・かえで)
経済評論家
1990年生まれ。お金の教育を幼少期から受け、明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として活動。金融教育普及のため幼稚園児向け雑誌でのマネー知育の監修や、若い層をターゲットにしたファッション系、オタク向けの記事や経済と恋愛を絡めたメディアまで、多方面で活躍している。Twitter
高井 浩章(たかい・ひろあき)
新聞記者
1972年、愛知県生まれ。経済記者・デスクとして20年超の経験をもつ。専門分野は、株式、債券などのマーケットや資産運用ビジネス、国際ニュースなど。三姉妹の父親で、初めての単著となる『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』は、娘に向けて7年にわたり家庭内で連載していた小説を改稿したもの。趣味はレゴブロックとスリークッション(ビリヤードの一種)。
(構成・撮影=インプレス「しごとのわ」編集部)
【関連記事】
都心で急増する"金遣いの荒い若者"の正体
"お金は汚い"という洗脳を受けた子の末路
年金が70歳支給になるのはどの年代からか
裕福になりたければ「健康」に金をかけろ
稼ぐなら"やりたくないこと"を仕事に選べ