20代からフリーランスになる人と会社員になる人で年金額はどう変わるのか。金融教育専門家の横川楓さんは「厚生労働省の公的年金シミュレーターで23歳からフリーランスの場合と会社員の場合を試算してみた。フリーランスの場合は自分で老後に備える必要がある」という――。
お金のスタック上のシニア男性
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フリーランスとは税法上は「個人事業主」

働き方が多様化する中で、いつかは会社勤めではなく、時間や職種に縛られず自由な働き方ができる個人事業主になりたいと思っている方もいるのではないでしょうか。

個人事業主は自由な働き方ができる反面、会社員よりも自分で作業をしたり、支払いをしたり、備えていく必要があります。

個人事業主と会社員で、特に大きな差が出るのが将来もらえる年金面。

そんな年金について試算もしながら、個人事業主と会社員の違いについてや、個人事業主として備えていくべきことをお話ししていきます。

個人で働いている人のことを、個人事業主と言うだけでなく、一般的にはフリーランスと言ったりもしますよね。フリーランスと個人事業主とは同じ人のことを指していても、言葉の意味としては全く異なります。

まずフリーランスとは法令上の定義ではなく、組織に属さない「働き方」のことを指し、次に個人事業主とは継続して事業を行い個人の税法上の区分のことを指します。フリーランスとして働くということは、税法上では個人事業主として扱われるということになります。

会社員とは税金や社会保険料の納め方も異なる

会社員と個人事業主(フリーランス)の違いとしては、まずは働き方や仕事、収入の得方が異なります。

働き方としては、会社員は所属する組織の規定に基づいた勤務時間や規則に応じて働きますが、個人事業主は時間や働き方は人それぞれです。完全に自由という場合もあれば、特定の組織とだけ取引をし、そこのルールに従って働くという場合もあることでしょう。

また、収入の得方についても会社員であれば月給いくらという形で月単位での給与収入として受け取るのが一般的ですが、個人事業主は取引先ごと、仕事ごとに金額も異なり、事業収入という形で受け取るのが一般的です。

そして、税金や社会保険料の納め方にも大きな違いがあります。

会社員であれば所得税や住民税などの税金、健康保険や年金保険などの社会保険は基本的には会社がお給料から天引きをして代わりに納付してくれますが、個人事業主はこれらを自分で納付しなければなりません。

確定申告であったり、自分で納付書を基に納付したりと、自分自身で作業をし、それぞれ支払っていく必要があります。