また、言葉そのものよりもどれだけ会話の引き出しを持っているかが重要です。それはビジネスのみならず、文化だとか、歴史だとか、2国間の関係だとか、食事でもいい。やっぱり好奇心旺盛に相手の国のことを徹底的に知っていれば、話題はいくらでもできるわけです。

商社パーソンにとって座持ちというのはとても大事で、相手を飽きさせない話題を提供し、相手が興味を示したら掘っていき、興味を示さなかったら違う話題に持っていくだけの弾をどれだけ持っているかです。単純に、つたない英語を興味もないのに聞いてくれる人なんかいないわけですから。

日本人のなかには発音とグラマーばかり気にする人も多いですが、つたない英語であっても大人の会話、ビジネスの会話ができるかどうか、「自分の知らないことをどう教えてくれるのか」という相手の好奇心を満たしてあげるほうが大事です。商社パーソンにとっての英語は、武器でもありますがあくまで道具、ツールです。

そのためにまずはやっぱり、自分の経験をいかに、極端に言うと面白おかしく相手に話せるかですね。これは反復練習していくしかないんです。いろんな場合でいろんな相手に小ネタを出しまくって、これはウケると思ったら、それをもう一回表現豊かにやってみるとかね。そのためには、当然ながらボキャブラリーが豊富じゃなきゃいけません。

また、アジアで英語を学んだ人が英語を使う上で一番気を付けたいのは語尾です。親しみを込めるように、語尾に「ネ」や「ラー」を付ける人がいっぱいいるんですよ。

例えばシンガポールなどにいると、シンガポールイングリッシュって「OKラー」とか言うんです。日本人の場合だと「OKね」とか。こういうのは最も駄目で、意識してでも英語の単語で完結させるというのをやらないと、何を言っているのかわからないと言われます。

地理、歴史、文化、食べ物はマスト

今や英語圏以外の諸外国のほうが、日本に比べて英語レベルははるかに上がっています。彼らは高校なり大学なりの高等教育を英語できちっと受けていますから。我々が相対するような中国やインドネシアやブラジル、メキシコでもそうです。日本人は残念ながら、十分な英語教育を受けられていないんです。

一方で、特にロシアや中国といった国では、ロシア語、中国語ができることによってインサイダー化でき、中でのネットワークが広がるというのもあります。