英語構文のまま、前から順に理解
ここでもう1つ大事なことは、英語の構文のまま主語→動詞→目的語というように前から理解していくことです。受験英語の弊害で、つい文章を頭のなかで反芻しながら後ろから訳してしまいがちです。それではスピードについていけません。スラッシュリーディング(区切り読み)という方法で、英語の意味を短文の固まりごとにスラッシュ(/)で区切って、頭から読んでいく。「誰が」→「何をした」→「どこで?」というように、次に何がくるのかを予想しながら読むクセをつけましょう。
こうして英語が英語として頭に入ってくるようになったら、『TOEIC L&R テスト 文法問題でる1000問』に挑戦します。テストのPart5で出題される文法事項に特化した、かなりボリュームのあるテキストです。
すべて穴埋め問題で、やさしい問題からだんだん難しくなるように構成されています。繰り返し練習して問題形式に慣れると、文法問題・意味問題の見分けがつくようになり、全文を読まずに空欄の前後だけを見て答えられる問題も出てきます。ここで時間短縮ができると、Part7の長文読解に時間がかけられます。
長文読解に関しては、400点レベルだとかなりハードルが高く、大量の英文に恐怖感さえ覚えると思います。それは英語に慣れ親しんでいないためです。英語に慣れるために、私は英語雑誌をお勧めしています。趣味など自分の関心のある分野、スポーツでもファッションでも料理でも何でもかまいません。英文が理解できなくても、パラパラと読むだけでOKです。
意外と勉強になるのが雑誌の広告です。日本語もそうですが、広告コピーは短くて簡潔、独特な言い回しがあります。たとえば「Visit our website」などは、「なるほど『visit』はウェブサイトを訪れるときにも使うのか」と知識が増えます。こうした広告文はテキストでは学べません。日常的に英語雑誌などを読んでいると、大量の英語に圧倒されなくなります。
最後に一番大事なことですが、忙しいビジネスパーソンがどうやって勉強時間を捻出するかです。要は心構えの問題。通勤電車以外でも、ちょっとしたスキマ時間を有効に使いましょう。昼休みの食事を素早くすませて、10~15分でも勉強する。SNSに費やす時間の3分の1を充てるだけでも違います。
上智大学文学部新聞学科卒業。ロンドン大学心理学部修士。モルガンスタンレー、ファイザー、シーメンス勤務などを経て、ビジネスパーソンの個人向け英語トレーナーとして活動。著書に『読むだけでTOEICテストのスコアが200点上がる本』がある。