文法を日常に落とし込めるのは「50代の特権」
英語ができるようになった人ほど、英文法が大事な鍵だと気づくという。
「多くの人が、英文法が中途半端な状態で英会話へと走ってしまいますが、中学の英文法はネーティブスピーカーたちの普段の会話のコアです。コアがぐらついていると、英語力を身につけようと努力しても水の泡になってしまいます」
文法を疎かにするのは、いい加減な基礎工事の上に家を建てるようなもの。いくら勉強しても、応用が利かないから、丸暗記した英語しか話せない。聞き取りも、語順(文構造)の理解ができていないから、次にくる言葉が予測できず、行き詰まる。
「でも、中学生のようにゼロからではないので、英文法が苦手だった人でも大丈夫。ポイントは文法を1つ学んだら、自分ならどういう場面でこの文法を使うかを考えること」
中学で比較級を習ったときは「ジョンはトムよりも背が高い」といった例文だったが、これを自分の仕事、たとえば、今期と前期の売り上げの比較といった、具体的なものに落とし込んで実践することが大切なのだ。
「“How are you?”のような表現でも文法がわかっていれば、“How was your interview?”(面接はどうだった?)とか、“How is your shoulder?”(肩の調子はどう?)と、いろいろ活用できます。でも、日本人は“What's the condition of your shoulder?”みたいな文を作ってしまいがち。それでも通じますが、Howを使ったほうが簡単だし一般的です。
『何色が好きですか?』と尋ねるときに“What do you like color?”とやってしまう人がいます。これも、疑問(形容)詞の後には名詞がくるという文法を知っていれば、What colorがまずきて、do you like? となるとわかります」
進行形は「~しているところ」と覚えている人は多い。でも、それだけでは文法の学習としては浅いのだ。
「進行形は、一時的な習慣化されていない状況に使うものです。“It's raining.”というのも、雨はずっと降り続くわけではないと知っているからです。『ハリー・ポッター』を今、目の前ではなく、家で読んでいる場合でも“This week, I'm reading Harry Potter.”と言っていい。
文法を日常に紐付けした形に落とし込んでいくのは、若者より50代のほうが、社会的経験があるぶんイメージしやすい。経験を生かせるのは50代の特権、若い人にはできません」