「妻に捨てられた夫」と言われても受け流せるか

では、「もう妻とは別れたい」と考える男性が、まずすべきことは何か?

夫婦関係に悩む男性の相談者に対しては、次の3ステップで「離婚か修復か」を考えてもらうようにしている。

ステップ1
□ 掃除や洗濯、炊事などひととおりの家事をこなすことができる
□ 自分の親の介護は責任を持ってできる自信がある
□ 家事や介護などのサービスを依頼できる経済的な余裕がある

妻との離婚を考えるものの「家のことは今まですべて妻にまかせていた」という男性も少なくない。離婚後の生活で、初めて家事などの細々した作業に直面して困惑するケースもある。家事ができないことは、生活力が乏しいということ。暮らしが乱れれば、心もすさみ、やがて離婚したことを後悔することになりかねない。

ステップ2
□ セックスの相手には困らない
□ この先、セックスをしなくても平気だ
□ なんでも話せる女友達がいる

3つのうち、ひとつも該当する項目がないなら今すぐ対策を考えるべき。長い人生では、愛しい人のぬくもりや心から理解し合える人を求めたくなるものだからだ。離婚を選択するからには、「離婚前より幸せになること」を目指したい。

ステップ3
□ 離婚が原因で社会的に問題が生じたり、信用がなくなったりしても耐えられる自信がある
□ 自分の身だしなみには気を遣えるし、食生活や健康面でも乱れない自信がある
□ ひとりでも退屈しない趣味や「生きがい」と呼べるものがある

世間体を気にする男性にとって、「離婚」は体裁が悪いもの。仮に「妻に捨てられた夫」というレッテルを貼られたとしても、気にせず受け流すメンタルの強さも必要になる。さらに、慣れないひとり暮らしで、「見た目はボロボロ、身体はガタガタ、心はスカスカ」という状態になっては元も子もない。

離婚は、自分らしく生きていくための「手段」のひとつであって、「目的」ではない。離婚したことで自分らしく幸せな人生を歩んでいくことができるかどうか。結論を出す前にもう一度考えてみる必要があるだろう。

岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
(写真=iStock.com)
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