価格破壊が進んでいるアメリカでは、ヨーロッパのワインが現地価格か、それよりも安い値段で売られていて驚かされる。カリフォルニアワインのほうが評価されるケースもあるから、ヨーロッパのワインにそれほどプレミアムをつける余裕はないし、ディスカウンターが本場から安く仕入れてくる。パパママストアが多く流通効率が悪いイタリア国内の値段のほうがかえって高いくらいだ。
今の日本で内外価格差の破壊者になっているといえば、エニグモが運営するショッピングコミニュティサイトの「バイマ(BUYMA)」である。バイマは海外にいるバイヤー(パーソナルショッパー)と日本の購入者をつなげるプラットフォームを提供している。
バイマのバイヤーは世界中に10万人以上いて、その多くは海外留学している日本人や、海外で働いている日本人ビジネスマンの奥方だったりする。そうしたバイヤーが、現地で見つけたお買い得な商品の画像をネットの掲示板にアップする。それを見た購入者から注文が入って決済が行われると、バイヤーは商品を仕込む。要するに無在庫販売だから、バイヤーは在庫リスクを抱えないで済む。
商品の出品は無料。商品が売れたときには売り手と買い手はそれぞれ売買金額の5%を手数料として引かれる。つまり売買金額の10%がバイマの収益になるわけだ。商品の購入代金はバイマがエスクロー(第三者が介在して、代金と商品の安全な交換を保証するサービス)しておいて、商品を仕入れた後に手数料を引いてバイヤーに支払われる。
バイマのような仕組みが定着、拡大していくと、内外価格差はなくなってくる。エニグモの創業者である須田将啓氏に「内外価格差の大きな商品を扱え。ワインをやれよ」と言っているのだが、今のところバイマが扱っているのはアパレルに化粧品やファッション小物などが圧倒的に多い。スマホで機敏にショッピングするのはやはり若い女性のほうが得意だから仕方がない。
ワイン好きな日本のおじさんたちは輸入代理店にぼったくられて高いワインを買うか、料理屋でソムリエの勧めるがままに高いワインをおいしそうに嗜むしかないのだ。