次に、これらのチーフ・ネゴシエーターに連絡して、あなたが候補として考えている調停人を実際に使ってみてどうだったかを尋ねてみよう。私が先ごろ実施した、成功している調停人の能力に関する聞き取り調査の結果が、この作業のガイドラインとして役立つだろう。アメリカの調停人上位30人を対象に調査したところ、彼らの成功のカギは次の3つの重要分野に力を入れていることにあるようだ。
(1)親和関係
調停人たちの一致した意見によると、成功する最も重要なスキルは、紛争当事者のそれぞれと親和関係──理解・共感・信頼の関係──を築く能力だ。親和関係があれば、当事者は調停人と十分にコミュニケーションをとろうという気になり、調停人が必要とする情報を提供してくれることが多い。
(2)創造性
成功する調停人のもう1つの重要な能力は創造性──新しい解決策を生み出す能力──だ。この能力は当然ながら、関心に注目することから生まれる。それぞれの当事者の関心を理解することによってのみ、調停人は双方の関心を満たす創造的な解決策を生み出すことができる。「問題に対処する新しい方法を考え出す能力があることは決定的に重要だ」と、ある調停人は語った。
(3)辛抱強さ
調停人が、最大の任務である紛争解決にひたすら目を向けながら、同時に当事者に、感情や考えを十分表明するために必要な時間をしっかり与える辛抱強い人間であることも大切だ。
紛争当事者はともすると、どちらが正しいかという論争を始めたら、その問題だけに集中して他のことは考えなくなってしまう。
プロの調停人は、当事者が双方の背後の関心を満たす解決策を見つける手助けをすることで、権利をめぐる争いを回避するのである。
(翻訳=ディプロマット)