昨今、マネジャーたちはお互いの顔も仕事の内容も知らない社員同士の集団をまとめあげ、しかも即刻結果を出すことを求められる機会が増えてきた。そのためのチーム管理術を紹介する。

マネジャーたちは今、有効な部署横断的チームを早急につくる必要性にかつてないほど迫られている。一つの部署の中では見つけられない多様な専門知識を必要とする新しいプロジェクトが生まれているし、合併や戦略的パートナーシップによって異なる集団が初めて合流させられることも多い。これらの一度きりのチームは、その存立基盤が何であれ、どれもみな一つの共通の特質を持っている。ただちに結果を出していかなくてはいけないのだ。

このような状況で生まれたチームを管理運営することは、マネジャーの指導力にとって明確な、そしてますます重要度を増す挑戦となる。

われわれはマネジャーがこうした挑戦に立ち向かう手助けをするために、マネジャーとして、またコンサルタントとして部署横断的プロジェクト・チームを組織したり、指導したりしてきた長年の経験をもとに、「rapid team building(迅速なチームづくり)」と呼ばれる手法を開発した。この手法は、マネジャーが社員グループを団結したチームにまとめ、ただちに仕事にかからせるのに役立つ六つのツールで構成されている。

(1)個々のメンバーの経歴情報を全員に知らせる

これによって2つの重要なことが達成される。一つは各人の能力に関する情報を全員に伝えられること、もう一つはグループ内にそれらの能力に対する敬意を生み出せることだ。さらに、長く続くチームのメンバーが積み重ねている共通の経験の代用となる、経験を共有しているという意識をメンバーに持たせることで、協力の精神を養うこともできる。

チームのメンバーが自分の経験について遠慮なく話せるよう、自由に答えられる形式の、仕事に焦点をあてた問いかけをすることで、このプロセスを促進することができる。たとえば、「これまでにどのようなプロジェクト・チームに参加してきたか教えてくれないか」とか、「過去に他のチームで直面した大きな挑戦について、またそれにどのように対処したかについて話してほしい」などと語りかけるわけだ。メンバーの中にあなたがすでに知っている人物がいる場合には、以前から知っているという事実とその人物の仕事ぶりの評判を伝える一方法として、あなた自身がその人物のことを皆に紹介してもよい。