赤字月8万、働けない娘38歳と同居する病弱な66歳母
ところが、想定外の事態が発生します。
母親が60歳を超えたあたりから、体調がすぐれなくなり、結局、62歳の時に、正社員の仕事を辞めることになってしまったのです。また、働いている間は、あまり節約などを意識したことがなく、貯蓄もほとんどできていなかったそうです。
母親が仕事を辞めて、予定が狂い出したことで、長女も初めて家計が破綻しかかっていることを知らされます。現状は、長女が家事協力をすることで、家計を極限まで切り詰めていました。
ただ、母親と長女の2人暮らしの家計を確認すると、収入が月10万円にもかかわらず、支出は住宅ローン・管理費・固定資産税を含む住居費10万円などで月18万円以上となっていて、大赤字の状態でした。
◆家計支出
食費 20,000円
水道光熱費 18,000円
固定電話・携帯代 5,000円
日用品 1,500円
医療費 3,000円
被服代 1,000円
交通費 2,000円
社会保険料 4,500円
長女 国民年金保険料 16,500円
予備費 10,000円
住宅ローン 74,000円
管理費・修繕積立て 18,000円
固定資産税 8,000円
支出合計 181,500円
どう見積もっても貯蓄は2年で底をつきそう
救いは、生活費だけなら8万円程度だったということ。以前は、もっと多かったのですが、生活スタイルを見直し、かなり支出を見直したといいます。母親によれば「長女が頑張ってくれて、今の支出で抑えられるようになりました」とのことでした。
事前ヒアリングで長男から聞いた話では、長女は、高校に入ったあたりから、不登校が始まったそうで、そのまま学校に行かなくなったそうです。友達をイチから作らないといけなかったことや環境の変化になじめなかったのではないかと家族はいいます。
スーパーへの買い物などはできるものの、人と接するのが苦手ということでアルバイトを含め外で働くという経験がなく、今から働き出して収入を得るのは難しいということでした。
先ほど述べたように、母親の年金収入は月額約10万円程度。どんなに頑張っても住宅ローン分は持ち出しになり、このままでは貯蓄は2年で底をつきそうです。
住宅ローンをこのまま払い続けていても、破綻するのをただ待つようなものです。仮に、マンションを売却した場合、今ならローン残高や諸費用などを差し引いても350万円程度は手元に残りそうです。筆者としては、少しでも早く売却したほうが得策だと考えられました。