仕事にやる気が起きない。どこから手をつければいいのか。2人の脳科学者にアドバイスを求めた。第6回は「あと数年で役職定年。先が見えて今後が不安です」――。
▼50代課長
Q あと数年で役職定年。先が見えて今後が不安です。
A 今日から毎日21時までに寝て朝型にシフトしてください。

「妻が老けた」と感じていたら注意

国内で自殺者が多いのは男性の40代と50代です。朝の電車に乗ってみても感じますが、この世代の人たちの多くは生気がない。毎日がつまらなくて、やる気がないように感じます。私はその背景にあるのは、脳のマンネリ化だとにらんでいます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/xijian)

40代の脳のマンネリ化は、仕事を変える、脳の使い方を変えることで解決します。しかし、50代の場合は「『寝る、食べる、運動する』の生活リズムを変えていく」必要があります。なぜなら、50代は現場に出ることが減り、会社と家の往復しかしないなど、生活がワンパターン化しやすいからです。昨日の昼食に何を食べたか聞かれても、思い出せないのではないでしょうか。

改善方法のなかで最も大事なのが睡眠です。近年の研究から、就寝中に脳のリンパ管が開いて、脳の中の使った老廃物を排出することがわかってきました。寝て解毒しなければ脳の老廃物は溜まり続け、認知症になる可能性が格段にアップします。

成長ホルモンなど睡眠ホルモンがたくさん出る21時頃から翌3時の間は睡眠をとりましょう。夜型の人は精神的ストレスを受けやすく、鬱になる頻度が高く、睡眠障害を起こす確率が高いので、一気に朝型にシフトする必要があります。

例えばあなたに奥様がいるとして、「最近奥さんが老けた」「朝食が美味しくない」と感じていたら、それは奥さんが老けたのでも料理が下手になったわけでもありません。あなた自身の脳が覚醒していないばかりか、目の前にやる気になる材料があっても気づかないほど、劣化が進んでいるだけです。