自分はスナック菓子や菓子パンでおなかを満たす母親
近年、幼い子供のための食事には気を配る一方、自分自身は必要なエネルギーや栄養素を十分摂取できていない母親は少なくありません。仕事や育児に忙しく料理に十分な時間をさけないだけでなく、食事を作るために必要な知識や技術を持っていないというケースもあります。
本稿では、日本総合研究所「妊産婦等の食育推進に関する調査」(2017年、以下「妊産婦の調査」※)の一環で制作した「妊娠中・産後のママのための食事BOOK」と、筆者が収集した女性たちからのコメントから、特に子育て女性(妊婦・産婦)の食生活の課題について述べます。
※厚生労働省の2017年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業による調査
1:子育てママの食生活はおろそかな傾向に
「妊産婦の調査」によると、妊婦と産婦(出産後1年以内の女性)では、食生活に違いがあります。「理想的な食生活」の実践度を尋ねたところ、「実践できている」「どちらかというと実践できている」と回答した妊婦は54.4%で、産婦は49.2%でした。
なぜ妊産婦は「理想的な食生活」を実践できないのでしょうか。その理由について、妊婦では、「体調がすぐれないから(つわり、産後の回復が悪いなど)」(26.8%)、「面倒だから」(19.8%)、「時間の余裕がないから」(15.4%)が上位でした。
一方、産婦では、「時間の余裕がないから」(40.0%)、「面倒だから」(19.4%)、「調理技術が不足しているから」(11.3%)が上位に挙げられています。産婦は出産後の子供の世話で忙しく、妊婦に比べても自身の食生活に十分配慮する余裕がない状況がうかがえます。
「睡眠不足の日が多く(自分の)食事を作る気力が出ません」
さらに産婦と妊婦を比べると置かれている状況が異なることがわかります。
「食事に手間や時間はかけたくない」(妊婦:67.2%、産婦:75.3%)
「食費はおさえてほかの事にお金を使いたい」(妊婦:55.2%、産婦:60.6%)
「食事はお腹が満たされればよい」(妊婦:37.3%、産婦:43.7%)
いずれも産婦のほうが結果的に食生活を軽視する傾向が高いようです。また、筆者が主に乳幼児を持つ30代から40代の母親にヒアリングしたところ、下記のような声が聞かれました。
「親(自分)のための料理の一部を取り分けて子供用の離乳食を作ることも可能ですが、実際は、子供専用の食事を優先的に作り、食べさせ、自分は適当な残りものを食べて終了。仕事があり日々忙しいので、それがわが家の食生活の実情です」
「子供の食事はきちんと作っていますが、自分の分はマンションの下のコンビニ弁当を買う、あるいはスナック菓子や菓子パンでおなかを満たしてしまうことも多い。コンビニが私の『冷蔵庫』です」
「特に出産後は、睡眠不足の日が多く、食事を作る気力が出ませんでした。また、育休から復職してからは、料理の最中に子供に声をかけられたり、抱っこをせがまれたりすると、日中かまってやれない罪悪感もあり、子供との触れ合いの時間を優先してしまう」