そして孤独な哲学者たちは、王を倒し、神を葬った。

真理を追い求める西洋の哲人たちは積極的に孤独を愛した。そして、孤独のなかで社会の常識を覆す新しい思想を紡ぎだした。

知の格闘家ともいえる哲学者は孤独をいかにとらえていたのか。そしてその生き様とは? 哲学に造詣の深い日比野敦さんに話をうかがった。

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「哲学者には孤独について多く語ったタイプと、たいして語らなかったタイプがいます。孤独について語らなかったタイプは、むしろ議論や対話について多く触れています。ソクラテスはずっと問答していますし、弟子のプラトンも同じタイプです。

で、対話(dialogue)から生まれたのが弁証法(dialectic)です。意見の異なる人と議論することで新しい何かが見つかる。いわゆるアウフヘーベン、「正(テーゼ)」「反(アンチテーゼ)」「合(ジンテーゼ)」ですね。だから、ヘーゲルにしてもマルクスにしても、弁証法的に考える人は孤独についてあまり語っていないとも言えます」(日比野さん、以下同)