ただし「ゲーム依存症」という病気になる恐れも

VR技術の発達でゲームはますます現実に近づいていますから、なおさら認知の力は鍛えられるでしょう。ソーシャルゲームも、パズルやアクションの要素で戦略性や動体視力、瞬時の判断力が鍛えられますし、キャラクターを組み合わせて戦えば社会性も高まりそうです。またゲームを完遂することは企業でプロジェクトを達成することと似ています。

ただし、複雑な情報による負荷があまりに続くとストレスになります。脳が過度にストレスホルモンに晒されると、神経細胞の機能が低下したり死んでしまうこともあります。1~2時間程度で済んでいるならいいですが、ゲームの中で困難も楽しさも完結するようになって、「もっと、もっと」ととらわれると「依存」の状態になる恐れもあります。

WHO(世界保健機関)は2018年1月に「ゲーム依存症」を病気として認定しました。ギャンブルやタバコ、アルコール依存と同じように、あなたのQOL(生活の質)を著しく下げる可能性もあるので、注意しながら楽しみましょう。

枝川義邦
脳神経科学者
早稲田大学研究戦略センター教授。東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。早稲田大学ビジネススクールでMBA取得。
(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)
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