和服でも乗り降りがしやすい高さ

また、量産車とは一線を画する品質管理も特徴の1つで、パネル単体や組み立て公差は一般的なモデルよりも厳しく管理。各工程での寸法公差や、ボディの微妙な傷や歪みは職人の手作業で修正、履歴もシッカリ残されるそうだ。

ボディカラーは4色用意される。塗装面の研磨は熟練工の手で3回の水研ぎが実施され、その仕上がりはまるで鏡のような映りこみを実現。ちなみにCピラーのエンブレム周りは“姿見”として身だしなみを整えるために念入りな磨きも行われる。

一方、インテリアには折上げ天井様式の採用や座り心地を追及したリフレッシュ機能、電動オットマン付きのアジャスタブルリアシート(ウール100%のファブリックと本革を設定)、大型ディスプレイ付きエンターテインメントシステム、20スピーカープレミアムオーディオを採用する。

前席よりも50mm近く低いサイドシルと段差のない後席サイドステップは、VIPが“優雅に”乗り降りできることが狙いで、和服でも乗り降りがしやすい高さや、後席に座るVIPの姿が1枚の絵として見えるように“額縁”の役目を果たすアルミ製の窓枠、そして上部に引き上げるタイプのダイキャスト製のドアハンドルなどなど、センチュリーならではの“おもてなし”も数多く用意される。

もちろん後席優先ながら運転席周りも抜かりはなしで、横基調でインパネは奇をてらわずシンプルなデザインだが、端正で品位のある質感はもちろん、操作系やスイッチ類の使いやすさもポイントの1つだ。

「新聞も読める」フラットな乗り心地

パワートレインは5L‐V8(2UR‐FSE)+モーターを組み合わせたハイブリッドに変更。先代レクサスLS600hに搭載されていたユニットがベースとなっている。「センチュリー専用だった2代目のV12と比べると格下げだ!」と言う人もいるが、高出力化(280ps/480Nm→381ps/510Nm+224ps/300Nm)はもちろん、燃費性能(7.6→13.6km/L)や環境性能も大幅にレベルアップ。ちなみに実績あるパワートレインの信頼性が活かされており、2代目のような二系統化はされておらず一系統に集約されている。ちなみにLS600hはAWDだったがセンチュリーはFRである。

プラットフォームはパワートレイン同様に先代LS600h用を最適化して用いる。レクサスLSに採用のTNGA GA‐Lプラットフォームを使わない理由は、GA‐Lプラットフォームが5L‐V8(2UR‐FSE)+モーターの搭載に対応していないためだ。ただし、TNGA開発で得た知見がフルに盛り込まれている。

車体は剛性を上げながらも振動吸収性にも優れる構造接着剤を採用。塗布量はコストよりも効果を重視し、他のクルマの1.5~2倍の長さだ。また、サスペンションは空気バネやショックアブソーバー、ブッシュ、リンク類など乗り心地に影響する部分はすべて新規で開発。タイヤも乗り心地に特化してチューニングされたブリヂストン製レグノGR001を履く。

その結果、乗り心地のゆったり感や滑らかな走り出し、上質な振動吸収性、新聞も読めるフラットな乗り心地といった快適性に加えて、運転しやすさの向上も実現しており、走行安定性も飛躍的にレベルアップ。ちなみに走行シーンに合わせて4つのモード(エコ/ノーマル/スポーツ/スポーツ+)がセレクト可能なドライブモードセレクトも採用。スポーツ+では見た目から全く想像もできないような軽快なフットワークも披露する。