「死亡退職金」にも相続税はかかる

「退職金」にも相続税がかかる場合が多いので注意を要します。サラリーマンが在職中などに死亡し、死後、遺族に退職金が支払われた場合は、その退職金は、相続税の課税対象となります。課税対象となるのは、退職金、功労金その他これらに準ずる給与すべてで、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。また、退職後に死亡し、その後に支払われたものであっても、死後3年以内に支給が確定したものは、課税対象となります。

ただ、この退職金には、法定相続人1人あたり500万円の非課税部分が設定されています。もし法定相続人が3人いた場合、たとえば配偶者と子ども2人が法定相続人だった場合は、500万円×3人=1500万円で、非課税枠は1500万円となるわけです。

こうしたこと以外にも、相続に関して「誤解しがちなこと」「知っておくべき制度」は多くあります。「誰にでも相続税がかかってくる可能性がある」時代ですので、最低限のことを知っておくのは、自分や親族の資産・生活を守る上でも大切なことです。

大村大次郎(おおむら・おおじろう)
元国税調査官、フリーライター
大阪府出身。国税局で10年間、主に法人税担当調査官として勤務し、退職後、経営コンサルタント、フリーライターとなる。執筆、ラジオ出演、テレビ番組の監修など幅広く活躍中。一方、学生のころよりお金や経済の歴史を研究し、別ペンネームで30冊を越える著作を発表している。「大村大次郎」の名前での歴史関連書は『お金の流れでわかる世界の歴史』で初めて刊行、その後「お金の流れでわかる歴史」シリーズを展開。
(写真=吉野秀宏/PIXTA)
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