2017年度アカデミー賞はハーバード生多数

次に、53%に当てはまらない、少数派の仕事を選ぶタイプとはどういう人でしょうか?

日本でも大人気となった『ラ・ラ・ランド』の監督と作曲家、『ムーンライト』の作曲家、女優のナタリー・ポートマン(以上ハーバード卒業生)が2017年度のアカデミー賞にノミネートされたときには、在校生&同窓生向けの一斉送信メールで、「リスクをとってこの職業をしているこの卒業生たちを称えたい」という内容がハーバードから送られてきました。

また、スタンドアップコメディアンを始めてテレビに引っ張りだこの友人が最近ポッドキャストを始めたという話や、アニメーションを作り続けてきた友人がSundanceという有名映画祭で賞をとったという話など、普通は「ハーバード生」のイメージにないような職業につく同級生たちが活躍する姿も既にみています。

この場合は、大学からのメールにあるように「リスクをとって」安定が保証されていない職業を選んでいるため、必ずしもお金や人脈目当てではありませんね。

この人達は、この道をつき進めばいつかはその分野で世界のトップになれる、と考えているハーバードの中では珍しいハイリスク・ハイリターンを好む野心的な人たちです。

起業家タイプも野心だけではない

それ以外の分野で野心的といえば、「スタートアップ」、つまりは「起業」をさかんに口にする、テック系(IT業界)の住人たちです。

しかし、彼らもあるジャンルで一発当ててやるという野心がある一方で、自分がつくった会社なら、そのとき世の中がどう変化していても、そこに合わせたビジネスモデルをつくり出すことができると考えているのです。

実は私自身も、このグループの一人です。私はハーバード大学を卒業後、ジュリアード音楽院に入学し、無事に卒業。現在は、バイオリニストとして世界を飛び回っていますが、エンタテイメント系のビジネスは、時代の変化に対して強靭だ、と私は思っています。

音楽ストリーミングサービスが普及して、どんな音楽も無料で聴けてしまうようになる一方、演奏会場に足を運んでライブを楽しむ人が今、ジャンルを問わず増えています。

今後、AIが作曲し、機械が奏でる曲ができたとしても、この世の中にはあえて生身の人間やライブだからこそ可能なことがエンタメの世界には溢れている。そう考えて、私は自身で演奏を続けつつ、エンタテインメント会社を設立しました。