※本稿は、廣津留すみれ『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
今のハーバード生はキャリアの“自由度”を重視
ハーバード生の「卒業後の進路」と聞いて読者のみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。コンサルや金融業界でバリバリ稼いだり、弁護士としてドラマ『スーツ』のように大きな訴訟を次々と解決したりして、組織でのし上がっていき、社会の最前線に立ち、世界のビジネスシーンを引っ張っていく人達になっていく、いうところでしょうか。
もちろん、そのイメージも間違いではありません。そのために寝る間を惜しんで勉強して大学に入り、世界のリーダーとしての資質を学んで卒業していくのです。しかし、「10年後はどんな仕事があるかわからないから、長期計画は立てないほうがいいよね」と語ったのは、某有名コンサルティング会社にいるハーバード時代の私の友人です。
今の会社・職業がいつまであるかわからない。別の職業ができるかもしれない。そこにフレキシブルに対応できるようにしておこう。そのための準備だけは怠らない――。彼女や私を含め、ここ10年のハーバード卒業生たちの多くが、このような考え方の元に、キャリアを積んでいるのです。
ストレートに就職したのはわずか66%
学内新聞「Harvard Crimson」の統計によると、私の代である2016年卒のハーバード学部生の就職率はたったの66%でした。その他の14%は「大学院に進学」して専門性を追求、7%は「フェローシップ」、つまり奨学金をもらって国外の学校で学んだり、研究の機会を得たりと自分の興味に思う存分時間を使い、2%は「旅行」つまりは旅人となり、10%はなんと「未定」。
日本の感覚では「新卒のステータスがあるうちに急いで就職しなければ」と思うかもしれませんが、ハーバード生の肌感覚では「若いうちにしかできない経験と学位の取得に励みたい」という思いがあります。2%が旅に出て今しかできない体験をしておきたいというのも、こういった時間感覚に余裕のあるアメリカならではでしょう。