身体の順応性をうまく利用する

これをうまく利用する方法もあります。

たとえば、病院の看護職のような日勤・準夜勤・深夜勤の3交代制の場合、後ろにずらしていくほうが順応しやすいですから、日勤→準夜勤→深夜勤の順でシフトを組み、数日間で交代していくのは比較的同調させやすいのです。

しかし、製造業などに多い昼夜の2交代勤務を2週間サイクルで行うようなシフト勤務の場合、2週間ごとに脱同調を起こしている状態になります。

一方、夜勤を2日やって、休日をはさんで今度は日勤というように、短期間に大きく時間帯が変わるシフトは、身体は対応しにくいものの、脱同調の期間そのものは長くはありません。

もっとも、脱同調に対する許容性、順応性には、当然ながら個人差があります。人それぞれ、再同調のしやすさは異なります。

健康管理への配慮は組織を映す鏡

無理なシフトスケジュールを続けていると、心身の負担となり、疲れやすく、ミスも生じやすくなります。シフト勤務者は、がん、糖尿病などの生活習慣病、うつなどの精神疾患のリスクが高まることは、厚生労働省の資料などにもはっきりあらわれています。

昨今、シフト勤務者の健康被害の問題がこれだけ取り上げられるようになっている状況のなかで、従業員の健康管理に対する配慮がどれだけなされているかは、その組織の体制を映し出す鏡のひとつともいえます。

交代勤務のために頑固な不眠症状がある際、睡眠薬を服用して眠ろうとする人もいると思いますが、私は薬の服用はあまりお勧めしません。鎮静型の睡眠薬には種々の副作用があり、日常生活に及ぼす影響、QOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)への懸念が大きいからです。