眠気撃退のコーヒーは“ホット”で
眠気撃退の定番といえば、カフェイン。カフェイン入りの飲み物の代表格がコーヒーで、世界中で古くから愛用されています。紅茶や緑茶にもカフェインは含まれています。カフェインは、動物の体内では構成できない植物由来の覚醒を促す物質。DNAなどの核酸成分でもあり、眠気を促すアデノシンという物質の作用に対抗します。
冷たい飲み物のほうが目が覚める気がするかもしれませんが、身体の深部体温を高めるほうが活動量を上げられるので、温かい状態で飲んだほうが効果が期待できます。
核酸は微生物も含め、すべての生物の構成成分ですので、睡眠の起源は非常に古いものだと私は考えています。アデノシンを介して睡眠を調節することは、太古から存在し、植物や下等生物から人類まで必要としてきた……などと想像を膨らませてみるのも眠気覚ましによいかもしれません。
能率アップのためには20分の昼寝
強烈な眠気があり、能率が落ちてしまうようなら、やはり仮眠をとるのが正解です。
オフィスに、そのための仮眠コーナーが設けられていると、休憩しやすくなります。ベッドを用意したり、個室にしたりというような大げさなものでなくても、その一角だけ明かりを落とし、リクライニングできるチェアを用意しておいて、アイマスクをかけて寝るくらいの感じで十分でしょう。
なまじベッドなどがあると、つい長く横になってしまいたくなるので、20分程度の仮眠には、首や肩などをリラックスさせられる程度のシートのほうが、ちょうどいいのです。
こそこそと寝るのではなく、眠気も疲れも吹き飛ばし、リフレッシュして能率アップを図るために、積極的に、正々堂々と20分ほどの仮眠をとる。睡眠負債を抱えがちなビジネスパーソンの体調管理の一環として、もっと広まってほしい習慣です。
西野精治(にしの・せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぎ、2000年にその発生メカニズムを突き止めた。2005年、SCNLの所長に就任。
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぎ、2000年にその発生メカニズムを突き止めた。2005年、SCNLの所長に就任。
(写真=iStock.com)