ゾゾにはないメルカリの強み
メルカリは、在庫リスクがない点と売買代金に手数料率を乗じた金額が自社の売上になるという点で、ネット通販のゾゾと収益構造が似ていると言われることがある。しかし、両社で決定的に異なるのは、運送費負担の有無だ。
ゾゾタウンでは、ユーザーが一定金額以上の購入をすると、送料無料になる。つまり、ゾゾがユーザーに代わって送料を負担している。そのためゾゾタウンのヘビーユーザーが増えるにつれてゾゾの運送費は膨らみ、利益を圧迫する。
実際、ゾゾの販管費のうち、もっとも大きなコストは運送費である。対してメルカリは、基本的に商品の運送費はユーザー負担である。そのためメルカリの売上規模が拡大しても、ゾゾのように運送費が増えることはない。
運送費は変動費の一種であるが、変動費の割合が低い会社は、営業レバレッジが高いといわれる。すなわち、メルカリは営業レバレッジ高く、利益が大きく跳ねる要素を多分に含んでいると言える。
日本は黒字、米国は赤字
メルカリは、国内だけでなく、海外でもフリマアプリ事業を展開している。
では、国内と海外で財務状況はどうなっているか。連結PLと単体PLを比較して、国内と海外の経営状況をそれぞれ見ていこう。
メルカリは、米国子会社や英国子会社などを傘下に抱えるグループ企業であるため、連結PLには海外事業も含めた合算ベースの業績が記されている。一方、単体PLは親会社であるメルカリ国内の業績のみになっている。
前述のとおり、グループ全体の連結PLは大赤字であるが、国内フリマ事業のみの単体PLは実は黒字である。売上高334億円、営業利益74億円(営業利益率22.2%)という優良企業の顔がそこにはある。
つまり、国内でのメルカリは非常に好調であるものの、海外で赤字を抱えているため、結果としてグループ全体で赤字になっていると言える。単純に、連結から単体を差し引いた金額が海外分と考えれば、海外での売上高は23億円、営業損失118億円という驚くべき実態が浮かび上がってくる(図表7参照)。
2018年12月にメルカリは英国事業から撤退すると発表したが、そのときのプレスリリースによると、英国子会社2社の営業損失は合計で約10億円だった。そのため、営業損失の大部分(約108億円の営業損失)の発生源は米国事業ということになる。