過重労働の医師は、診察拒否できるか
裁判例を見ると、モンスター患者は拒否しても「正当な事由」として認められる傾向がある。
患者が説明を求めて何度も病院に押しかけるなどの業務妨害にあたる事案や、医師に対して『告訴する』と攻撃的な言動を取った事案では、診察拒否が認められました」
一方、救急の受け入れを満床を理由に病院が拒否し、その後患者が死亡した場合は満床が正当な事由として認められず、病院が損害賠償責任を負ったケースもある。
正当な事由に当たるか、いま議論されているのが、残業時間の上限超過だ。医療現場では、医師の長時間労働が常態化している。
これまでは残業時間の上限超過が診療拒否の正当な事由になるかどうかが明確ではありませんでした。そこで現在、厚労省研究班で解釈の整理を進めています。私自身は、応召義務を理由に、医師に対し過重労働を求めすぎているのではないかという認識です。医師を過度な長時間労働から解放すべきであり、患者も医療のかかり方について意識改革する必要があるでしょう」
(答えていただいた人=弁護士 三谷和歌子)