注意が必要なのは、結婚前の資産。基本は財産分与の対象外ですが、「結婚後もそのまま生活に使っている」と見なされると分与が必要になります。たとえば、独身時代から利用していた給与振込口座をそのまま利用している場合、口座の資産は共有財産と見なされる可能性が高いでしょう。財産分与の観点からは、結婚するときには口座を新しくして、独身時代の蓄えは分離しておくべきです。

財産分与を少なくしたいなら、離婚を早めに決着させること。協議離婚でまとまらなければ調停離婚→裁判離婚と進みますが、裁判ではもちろん、調停でも2分の1ルールが基本となる可能性が高いのです。協議離婚の段階であれば互いの話し合いで決着できるので、妻が納得すれば2分の1ルールに縛られる必要はありません。

中里妃沙子(なかざと・ひさこ)
弁護士
丸の内ソレイユ法律事務所代表。東北大学法学部卒業。南カリフォルニア大学ロースクール修了。2009年に同事務所を開設、年間300件以上の離婚相談を受ける。法政大学大学院環境マネジメント科兼任講師。
(構成=向山 勇 写真=iStock.com)
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