メガバンクがいくら努力してもあらがえない3要素

その分、メガバンクは手数料収入を増やしたり、国際業務に力をいれたりと頑張っているのですが、その結果がここ3年間の利益縮小という経営結果になっているわけです。

2019年の銀行業界には引き続き3つの要素が変化を促します。それはAIによるリストラの本格化、フィンテックによる競合の出現、そしてスマホ決済や電子マネーなど新しい金融取引の拡大です。

まずリストラの話から始めましょう。そもそもメガバンクは行員数にしても支店の規模にしても大きすぎるのです。とはいえ銀行の中では一定の専門知識をもった行員が判断をしたうえで処理しなければならない事務作業が結構な作業量を占めています。

そのコストを下げるために、これまでは銀行経験者を派遣労働者として再雇用するような形で行員コストを下げたり、IT投資をすることで生産性を上げたりというような取り組みが中心でした。そこに新たにAIを使った業務削減の余地が生まれてきました。

具体的にはRPA(ロボティックプロセスオートメーション)という手法です。行員の業務用PCなどの中に機械学習をするAIを組み込んでいくことで、行員がどのような判断業務を行っているのかを学習して、それをAIで処理できるようにするという新しい手法です。

みずほ銀行「今後10年間で2万人近くの作業を削減」

みずほ銀行は、今後10年間で2万人近い業務を削減する計画を掲げています。おそらく、ほかのメガバンクも同じ期間で同じ規模のリストラをすると思います。それにはRPAの活用が欠かせません。これはメガバンクの生産性を格段と上げる一方で、行員の立場でみれば大きなリストラが待ち構えているということになるでしょう。

実は銀行経営に関して言えば人件費に加えて「物件費」と呼ばれる要素がコストのかなりの部分を占めています。端的に言えば支店のキャパシティが時代遅れになってきているのです。

銀行の支店は財務省の認可をうけないと増やしたり減らしたりはできないのですが、銀行内で業務の見直しをすすめた結果、近年ではどこの店舗でも中で働いている人の数が大きく減っています。

支店の窓口で言えば、窓口のテラーと呼ばれる行員の後ろに2列ぐらいの行員が控えていて、その後ろに役職者が座っているというのが過去の銀行の支店の様子だったのですが、最近ではその中間の2列の人がいなくなって銀行の支店はがらがらになってきています。

しかし人数が減っても支店のフロア面積はそう簡単に減らしてはいけないというのが財務省のルールです。ですが、さすがにこれから先、もう一段人員のリストラが進めば、銀行の店舗面積や店舗の数はこれから先、徐々に縮小していくことになるでしょう。